ビットコイン(BTC)が一時6万3000ドル台まで下落し、市場の弱気ムードが強まっている。米長期金利の上昇に加え、米国の現物ETFからの資金流出やオプション市場でのヘッジ需要拡大が重なり、相場の重荷となっている。当面の焦点は6万ドルを維持できるかどうかだ。
Cryptopolitanによると、ビットコインは4日、6万3000ドル台まで下落し、2026年1月以降の安値を付けた。直近1週間の下落率は16%を超えた。
現在の価格水準は、2025年10月に記録した12万ドル超の過去最高値に比べて約45%低い。市場では、今回の下落を一時的な調整ではなく、弱気相場入りの兆候とみる向きが増えている。
予測市場の動きも投資家心理の悪化を映している。予測プラットフォームKalshiでは、ビットコインが年内に6万ドルを下回る確率が約80%に上る。これは2月に付けた安値の6万0062ドルを下回る水準だ。
年内に5万ドルを割り込む確率も52%とされた。一方で、10万ドルを回復する確率は27%にとどまった。5月上旬には10万ドル回復の確率が50%近くあったとされ、市場の期待はこの1カ月で大きく後退した格好だ。
Polymarketでも同様の傾向がみられる。市場参加者は、ビットコインが年内に過去最高値を更新する確率を12%程度と見積もっている。短期的な反発よりも、追加下落を警戒する見方が優勢になっている。
マクロ環境も逆風だ。米10年国債利回りは再び4.45%を上回った。市場では、年末までに米連邦準備制度理事会(Fed)が追加利上げに動く可能性を50%超とみる向きもある。
一時は期待された利下げシナリオも、足元では市場の前提から後退している。ドル指数は99を上回って推移しており、ドル高基調も続く。高金利とドル高はリスク資産全般の重荷で、ビットコインもその影響を受けやすい地合いにある。
機関投資家マネーの流れも弱い。米国のビットコイン現物ETFでは、直近3週間で約42億ドルが純流出した。年初来で最大規模の資金流出となる。市場では、機関投資家が価格回復を待つより、リスクポジションの圧縮を優先しているとの見方が出ている。
短期的な相場材料としては、米国の非農業部門雇用統計が注目される。雇用が強ければ売り圧力が続く可能性があり、弱ければ市場がいったん落ち着く余地がある。
オンチェーン指標も重しになっている。ビットコインの現値は、「トゥルー・マーケット・ミーン(True Market Mean)」と呼ばれる約7万7800ドルの水準を下回っている。この指標は、活発に取引されるビットコインの平均取得単価を示し、強気相場と弱気相場の分岐点として使われる。
一方、流通量全体の平均取得単価を示す実現価格(Realized Price)は約5万3900ドルと推計される。足元のビットコインはこの2つの指標の中間に位置しており、トゥルー・マーケット・ミーンを回復できない限り、弱含みの展開が続く可能性が高いとみられている。
短期保有者の平均取得単価も約7万6400ドルで、現在の価格を上回る。直近で参入した投資家の相当数が含み損を抱えている計算になる。
デリバティブ市場では防御姿勢が鮮明だ。1カ月物のインプライド・ボラティリティは約42%と、実現ボラティリティの32%を大きく上回った。オプション市場ではプットがコールより高い水準で取引されており、下落に備えたヘッジ需要の強まりがうかがえる。
市場では、価格下落そのものに加え、機関資金の流出、金利上昇、オンチェーン上の上値抵抗、オプション市場での防御的な動きが同時進行している点に警戒感が広がっている。
当面の最大の焦点は、ビットコインが6万ドルを維持できるかどうかだ。この水準を明確に割り込めば、5万ドル台への下落が現実味を増すとの見方が強まっている。