ビットコイン 写真=Shutterstock

Bitwiseは、ビットコインが国債の信用リスクに対するヘッジ手段として広く採用された場合、理論価値は22万4000ドル(約3360万円)に達し得るとの試算を示した。世界的な債務膨張や債券市場の不安定化が進めば、長期的にはビットコインの投資妙味を支える可能性があるとしている。

Cointelegraphが6月2日(現地時間)に報じた。Bitwiseは、国債のデフォルトリスクを織り込んだ評価モデルをもとに、世界の債務負担の拡大と債券市場のストレス上昇が、ビットコインの長期シナリオを下支えし得ると説明した。

背景として挙げたのが、世界的な債務の積み上がりだ。経済協力開発機構(OECD)によると、2026年の世界の政府・企業による借り入れは約29兆ドル(約4350兆円)に達する見通し。2024年比で約17%増、10年前と比べるとほぼ2倍になる。とりわけOECD加盟国の政府借り入れの約78%は、新規投資ではなく既存債務の借り換えに充てられる見込みという。

Bitwiseは、日本国債市場を代表的な警戒シグナルの1つに位置付けた。日本の10年国債利回りは足元で2.78%まで上昇し、30年国債利回りは過去最高を更新した。日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)の約230%に達するとしている。

加えて、日本の投資家が約1兆2000億ドル(約180兆円)規模の米国債を保有している一方で、国内金利の上昇により米国債投資の魅力が薄れている点も変数として挙げた。

実際、為替ヘッジ後の米10年国債利回りが日本国債の利回りを下回り、日本の投資資金が国内債券市場に回帰する可能性も指摘されている。

債券市場の緊張は米国でも強まっている。米30年国債利回りは先月、一時5.11%まで上昇し、2007年以降で最高水準を付けた。信用リスクを映すスワップスプレッドも、欧州債務危機以降で最も高い水準まで拡大したという。Bitwiseは、こうした動きが短期的にはリスク資産の重荷になり得るとみている。

一方で、債券市場への不安が一段と強まり、中央銀行が金融市場の安定に向けて流動性を供給する局面になれば、ビットコインにとっては追い風となる可能性があるとも分析した。Bitwiseは、債券アナリストのGreg Fossが開発した評価モデルを引用し、国家デフォルトリスクのヘッジ手段としてビットコインが広範に採用されれば、適正価値は約22万4000ドル(約3360万円)に達し得ると説明した。

もっとも同社は、この数値は価格目標ではなく、あくまで理論上の推計値だと強調している。

短期見通しについては比較的慎重だ。Bitwiseは、足元の高い実質金利と引き締め的な金融環境が、ビットコイン需要を抑えていると分析した。実質金利は政策金利からインフレ率を差し引いたもので、水準が高いほど現金や債券の相対的な魅力が増す。逆に実質金利が低下すれば、ビットコインのような代替資産には追い風になりやすいという。

同社は、2021年のビットコイン相場の上昇局面が実質金利の低下と重なり、2022年の下落局面は急速な利上げと並行して進んだと説明した。実質金利はなお高水準にあるが、今後インフレが進む一方で米連邦準備制度理事会(Fed)が政策金利を据え置けば、実質金利が低下し、ビットコインにとって支援材料になり得るとみている。

市場では中長期の上値余地を示す見方も出ている。ビットコイン研究者のSminstonは、ログベースの価格モデル「Bitcoin Decay Channel」を根拠に、2026年末のビットコイン価格レンジを9万ドル(約1350万円)から25万5000ドル(約3825万円)と提示した。

業界では、短期的には金利と流動性環境が価格動向を左右する一方、長期的には国家債務の拡大や通貨に対する信認の変化が、ビットコインを投資テーマとして押し上げる可能性があるとの見方が広がっている。

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