既存の金融機関によるパブリックブロックチェーン活用が進むなか、今後18カ月は、どのチェーンとどの規制枠組みが普及を支えるかが焦点になる。Evernodeは、Societe Generaleのユーロ建てステーブルコイン「EUR CoinVertible(EURCV)」の展開を踏まえ、こうした見方を示した。
ブロックチェーンメディア「The Crypto Basic」が3日(現地時間)に報じた。
Evernodeが注目したのは、Societe Generaleのデジタル資産子会社SG-Forgeが発行するEURCVだ。EURCVはXRP Ledger(XRPL)のほか、Ethereum、Stellar、Solanaといった複数のブロックチェーン上で展開されている。Evernodeは、EURCVがユーロ建てステーブルコインの有力銘柄の一つに成長したと指摘した。
鍵を握るのは、規制下にある金融機関のチェーン選定だ。Evernodeは、大手グローバル銀行が規制適合型のステーブルコインをパブリックブロックチェーン上で発行した事実そのものが、各ネットワークの金融インフラとしての適性を示すシグナルになるとみている。なかでもXRPLがEthereumやSolanaと並んで採用された点については、規制型のユーロ建てデジタル資産を受け入れる主要ネットワークの一角に入ったとの見方を示した。
Evernodeは、市場の関心が「採用されたかどうか」から、「どの程度の規模で普及するか」に移っていると説明した。同社は、今後18カ月について「どれだけの規模で、どのチェーン上で、どのルールの下で進むかが焦点になる」と指摘。金融機関によるブロックチェーン活用は、どのネットワークが実際の金融商品の発行を継続的に呼び込めるかが問われる局面に入ったと分析した。
こうした動きの背景として、欧州の規制環境も挙げた。Evernodeは、欧州連合(EU)の暗号資産市場規則「MiCA」が、金融機関にデジタル資産商品の発行・運用に関するより明確な基準を示したと説明した。MiCAは昨年全面施行されており、欧州域内で規制に対応したデジタル資産インフラの整備を後押しする基盤として位置付けた。
Evernodeは、ドル建てステーブルコインが依然として市場の中心にある一方で、欧州でも独自の規制型デジタル通貨インフラの整備が段階的に進んでいるとみている。EURCVの展開は、その流れを示す事例だという。ユーロ建てステーブルコインが複数のパブリックチェーンで動き始めたことで、市場の競争軸も発行量だけでなく、規制適合性や採用されるネットワークへと広がっているとした。
米国との規制比較にも言及した。Evernodeは、欧州でMiCAが果たしている役割を、米国で進むデジタル資産規制整備の動きと対比している。米国では「CLARITY法案」のような提案が出ている一方、欧州ではすでにより具体的な制度枠組みが動き始めている点が対照的だとした。
もっとも、伝統的な金融機関によるブロックチェーン導入が一気に拡大するわけではないとも指摘した。規制を遵守する銀行や金融会社が、実際の金融商品をパブリックブロックチェーン上で一つずつ展開していく形で、採用は段階的に広がるとの見方を示した。
今後の注目点は、どのチェーンが新たに規制型ステーブルコインの発行基盤として採用されるのか、またどの規制枠組みが金融機関による実際の商品展開を後押しするのかにある。今回の事例は、XRPLが既存金融の実利用先候補として一定の存在感を示したケースといえそうだ。