米国株市場でAIブームを追い風とした上昇が続くなか、CNBC司会者のジム・クレイマー氏がテック株への資金集中に警鐘を鳴らした。投資先の分散先として、金融、ヘルスケア、生活必需品、外食などの銘柄を挙げている。
CNBCが2日(米国時間)に伝えたところによると、クレイマー氏は、データセンターやAI関連株が再び買われる一方で、テック株の一角には上昇の勢いに陰りが見え始めていると指摘した。そのうえで、有望銘柄としてJPMorgan Chase、Johnson & Johnson、Kimberly-Clark、McDonald's、Yum! Brands、Kraft Heinzを挙げた。
同氏は、NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)がCOMPUTEXで基調講演を行った後、AI投資への期待が改めて強まったと説明した。一方で、一部のソフトウェア企業には成長鈍化の兆しも見え始めているとの見方を示した。
さらに、Alphabetによる追加の株式発行の可能性に加え、SpaceXやAnthropic、OpenAIといった有力企業の上場が相次げば、テック株全体の需給悪化につながりかねないとした。クレイマー氏は「テック株には複数の脆弱な要素が積み上がっているように見える」「別の業種で投資機会を探したい」と述べた。
最初に推奨したのはJPMorgan Chaseだ。金融株は今年、S&P500の主要セクターのなかで出遅れが目立ってきたが、同氏はそれがむしろ投資妙味につながるとみている。JPMorgan Chaseの予想PERは年初の約15倍から足元では13倍前後まで低下し、株価も年初来で約7%下落した。「これほど割安な水準でJPMorgan Chaseを買える機会は多くない」とし、銀行のファンダメンタルズはなお堅調だと強調した。
ヘルスケアではJohnson & Johnsonに注目した。肥満症治療薬ブームをけん引するEli Lilly and Companyも前向きに評価しつつ、足元ではJohnson & Johnsonの方がより魅力的な選択肢になり得ると述べた。新薬パイプラインに加え、拡大が続く医療機器事業、最近の買収効果を強みとして挙げた。一方で、業種ローテーションのタイミングは読みにくいとして、時間を分けて買い進める必要があるとも付け加えた。
生活必需品ではKimberly-Clarkを推奨した。日用品ブランドの厚み、安定配当、今後の事業再編の可能性を評価材料としている。
外食ではMcDonald'sとYum! Brandsを選んだ。テック株選好が続くなかでも、これらの銘柄は本来の企業価値に比べて割安に放置されていると分析した。Yum! Brandsについては、Pizza Hut関連事業の構造改革余地に加え、KFCやTaco Bellといった主力ブランドの競争力を評価した。
最後にKraft Heinzも防御的な投資先として挙げた。経営陣が進める事業立て直し策が効果を上げれば、高配当の魅力を維持できるとの見方を示した。配当利回りは約7%としている。
クレイマー氏がテック株以外の銘柄を強調した背景には、AIインフラ投資の拡大に伴う資金調達負担がある。同氏は、データセンター建設だけでも今後数千億ドル規模の資金が必要になる可能性があると指摘し、企業が増資に動けばテック株の需給の重荷になるとみている。
そのうえで、AI関連株に資金が過度に集中した局面では、これまで出遅れていた業種が市場調整時の受け皿として浮上する可能性があると分析した。
実際、市場では今年、金融、ヘルスケア、生活必需品がテック株に比べて相対的に不振だった。AIラリーが一服した場合、これらの業種が業種ローテーションの恩恵を受けるかどうかに投資家の関心が集まっている。