韓国の科学技術情報通信部は6月4日、ソウル市小公洞のロッテホテルで「K-AI半導体成長フォーラム」を開いた。国産AI半導体の実証・商用化事例や輸出成果を共有するとともに、性能指標「K-Perf」の検証結果と今後の拡大方針を公表した。
会場には、キム・ギョンフン科学技術情報通信部長官のほか、国会、関係機関、業界団体、AI半導体企業、クラウド、ソフトウェア、AIサービス企業の関係者ら約300人が参加した。
同部は、国産AI半導体を「AI3大強国」への飛躍と独自AIの実現に向けた中核基盤と位置付ける。政府はこれまで、研究開発(R&D)と実証支援を通じて技術競争力の強化を後押ししてきた。
国産AI半導体は今年に入り商用化が本格化している。足元では、英国、台湾、ベトナム、中国など海外市場で3000万ドル超(約45億円)規模の輸出契約を結ぶ成果も出ているという。
フォーラムでは、政府のAI半導体実証事業を通じて現場に導入・運用している事例が紹介された。具体的には、養鶏管理ロボットを活用した無人自律農場のスマート畜産AX事例(RobotwareAI・Mobilint)、海洋監視向けの水上ドローンや山火事管理プラットフォーム(釜山情報産業振興院・FuriosaAI)、河東・山清地域の山火事監視などを目的とするCCTV・ドローンベースの災害安全AI管制ソリューション(慶南テクノパーク・Mobilint)などを取り上げた。
実証事業を起点に海外輸出へつながった事例も共有した。英国ウェスト・ミッドランズ州と共同開発した交通弱者向け移動支援の車いすプラットフォーム(LBS Tech・Dinotisia)や、アラブ首長国連邦(UAE)のエネルギー企業と連携したリアルタイム水上汚染源探知・自律浄化の水質管理モニタリングサービス(Ecopiece・Rebellion)を、輸出契約に結び付いた代表例として紹介した。
韓国のAI半導体各社は、商用サービスと連動した活用事例も発表した。SK Telecomの「A.」通話要約サービス(Rebellion)、Samsung SDSのサブスクリプション型AI半導体サービス「NPUaaS」(FuriosaAI)、公共向け民願分析サービス向けの大規模言語モデル(LLM)基盤(HyperAccel)、Hyundai Motor Groupの次世代ロボティクスプラットフォーム(DeepX)、MetaMのAIコールセンター相談サービス(Mobilint)などが挙がった。
この日のフォーラムでは、国産AI半導体の性能指標「K-Perf」の推進状況と今後の計画も示した。K-Perfは、需要企業が国産AI半導体の導入時に必要となる性能データを客観的に把握するための指標と位置付けられている。
すでに2025年12月には、需要側・供給側の15機関が参加し、実使用環境を重視した性能測定モデルや条件、評価指標を定めて公表していた。
科学技術情報通信部と韓国情報通信技術協会(TTA)、情報通信企画評価院(IITP)は、FuriosaAIの「RNGD(レニゲイド)」とRebellionの「REBEL-100(リベル100)」を対象に、K-Perfに基づく試験・検証を実施した。その結果、両製品はいずれもモデルサイズ、入出力サイズ、同時利用規模など多様な条件で、需要企業が求める性能基準を満たしたとしている。
政府は今後、サーバー型に加えてオンデバイス型AI半導体まで性能基準の対象を広げる方針だ。あわせて、試験体制の高度化やK-Perf基盤のテストベッド提供も進める。国産AI半導体の民間普及に向けては、上半期中に「K-AI半導体技術支援センター」を開設する計画だ。
ハードウェア、ソフトウェア、AIサービスを組み合わせた「K-AIフルスタック」の実証支援も進める。
キム・ギョンフン科学技術情報通信部長官は「国産AI半導体は、AI3大強国への飛躍という国政課題の実現と独自AIの完成に向けた中核基盤だ」と述べた。そのうえで、「量産と商用化が実質的な成果につながるよう、政府が呼び水の役割を果たし、積極的に後押ししていく」と強調した。