ビットコインが6万5000ドルを割り込み、9週ぶりの安値を付けた。米・イラン情勢の緊迫化を背景にリスク回避の動きが強まったうえ、レバレッジ清算の拡大やETF資金流出、テクニカル面での支持線割れも重なり、下落幅が広がった。
3日付のCointelegraphによると、米国とイランを巡る追加空爆で停戦交渉への先行き不透明感が強まり、暗号資産市場にも売りが広がった。
デリバティブ市場では清算が急増した。CoinGlassの集計では、直近24時間で約27万7000人のトレーダーが清算され、清算総額は約18億3000万ドルに達した。このうち9割超をロングポジションが占めた。清算はビットコインとイーサリアムに集中した。
市場では、今回の下落は地政学リスクだけでは説明しきれないとの見方も出ている。BTRU Researchの調査責任者、アンドリ・パウザン・アジマは、下落の要因はイラン関連のニュースだけではないと指摘した。
同氏は、レバレッジ清算に加え、大規模なETF資金流出やテクニカル面での支持線割れが主因だと分析。そのうえで、中東情勢の緊迫化が市場の恐怖心理を一段と強めたとの見方を示した。
アジマは、短期的には値動きの荒いもみ合いが続くと予想した。下値の支持線は6万4000~6万5000ドル近辺にあるとし、緊張緩和やマクロ環境の改善があれば、相場が大きく反発する可能性もあると述べた。
今回の急落で、暗号資産市場の時価総額は1500億ドル減少した。米中央軍は3日、イランの弾道ミサイルやドローンを複数迎撃したと発表した。あわせて、中東各地で試みられた攻撃への対応として、ケシュム島で自衛的な打撃を実施したと明らかにした。
米中央軍によると、イランは周辺国に向けて複数の弾道ミサイルを発射したが、いずれも目標には命中しなかった。クウェートに2発、バーレーンに3発が発射されたという。軍事衝突の拡大懸念が強まり、リスク資産全般で回避姿勢が強まったとみられる。
背景には、米国とイランの不安定な停戦局面がある。両国は約2カ月にわたり停戦を維持し、停戦延長やホルムズ海峡封鎖の解除を巡って間接交渉を続けてきたが、合意には至っていない。
こうしたなか、ドナルド・トランプ米大統領は自身のSNSで、米国とイランの対話が中断されたとの観測について「虚偽であり誤報だ」と主張した。
一方、イランのTasnim通信は、イスラエルによるレバノン攻撃が止まるまで、米国とのあらゆる対話を中断すると報じた。交渉継続を巡る発信が食い違い、市場の警戒感は一段と高まっている。
当面の焦点は、6万4000ドル台の支持線を維持できるかどうかと、資金フローの悪化に歯止めがかかるかどうかだ。今回の下落は、地政学ショックに加え、レバレッジ解消、ETF資金流出、テクニカル悪化が同時に重なった結果とみられる。短期的に反発する局面があっても、中東情勢と清算圧力の沈静化が相場の方向を左右しそうだ。