6月第1週の暗号資産市場では、XRP ETFへの資金流入が際立った一方、ビットコイン現物ETFは10営業日連続の資金流出となった。米国ではステーブルコイン規制を巡るクラリティ法案にJPMorganが反対姿勢を示し、市場と制度の両面で新たな焦点が浮上している。
ビットコイン現物ETFは10営業日連続で純流出となり、累計の純流出額は29億7000万ドルに達した。一方、XRP ETFは同期間に資金流入が続き、対照的な動きを見せた。
5月29日(現地時間)には、XRP ETFに1188万ドルが純流入した一方、ビットコイン現物ETFとイーサリアムETFはそれぞれ1億2531万ドル、1791万ドルの純流出となった。
SoSoValueによると、XRP ETFの累計純流入額は14億2000万ドルを超え、4月30日から16営業日連続で純流入を記録した。
機関投資家の動きも注目を集めている。Morgan StanleyはXRP ETFの保有を初めて開示した。投資額は1万5488ドルと小規模だが、大手投資銀行がXRP ETFを公式ポートフォリオに組み入れた点を市場は材料視している。
XRPの今後を占ううえでは、個人投資家の資金流入よりも、銀行需要の立ち上がりが重要だとの見方がある。グローバル銀行が国際送金や決済インフラとしてRippleネットワークを実際に採用するかどうかが、価格形成のカギになるという指摘だ。
Rippleもこうした見方を後押しする形で、決済、カストディ、トークン化を含む法人向け暗号資産インフラの拡大方針を示した。XRP価格自体はなお横ばい圏にあるが、ETFへの継続的な資金流入や大口投資家の買い、機関投資家関連指標の改善など、需給面では強含みを示す材料も出ている。
一方、ビットコインは7万〜7万3000ドルのレンジで方向感を欠く展開が続いている。直近の下落局面では、BlackRock関連口座から13億ドル規模のダークプール売りが確認されたとの分析が出た。機関投資家マネーの流出が下押し圧力につながったとの見方もある。
現物ETF市場全体の地合いも弱い。ビットコイン現物ETFは前述の通り10営業日連続で資金流出となり、Fear & Greed Indexは「極度の恐怖」圏にとどまった。オンチェーンでは、短期保有者の損切り拡大を示すシグナルも確認されている。
短期保有者が取得コストを下回る水準で一斉に売却する動きは、過去には底値形成局面の前後で繰り返し観測されてきた。このため、市場では下値模索の一方で、反転の兆しを探る見方も出ている。
もっとも、オンチェーン指標とソーシャルメディア上のセンチメントには乖離もみられる。価格が横ばいで、ETFからの資金流出も続くなか、ソーシャルメディア上のビットコイン関連の言及はむしろ楽観寄りに傾いているという。
長期保有者が売りを急がず買い増しを続けていることに加え、トランプ政権による地政学リスク緩和のシグナルも、相場の反発期待を下支えしているとの分析がある。
米国では、ステーブルコイン規制法案であるクラリティ法案を巡る対立も強まっている。JPMorganのCEO、ジェイミー・ダイモン氏は現行法案に公然と反対し、銀行業界として受け入れがたい内容だとの認識を示した。
焦点の一つは、ステーブルコイン保有者への利払いを禁じる条項だ。この点を巡っては、Coinbaseなど暗号資産交換業者が反発してきた経緯がある。
Coinbaseはダイモン氏を批判するミームをSNSに投稿し、世論戦を展開した。暗号資産業界ではクラリティ法案の支持で足並みをそろえる動きが広がっている。
共和党内の暗号資産推進派として知られるシンシア・ルミス上院議員は、「クラリティ法案が頓挫すれば、米国は暗号資産産業の主導権を失う」と警告し、法案成立の必要性を改めて訴えた。
このほか市場では、2026年のFIFAワールドカップを見据え、Chiliz(CHZ)やAvalanche(AVAX)などスポーツ・ゲーム関連銘柄や、各種ミームコインにも関心が向かっている。大会に合わせたファントークン需要の拡大や、グローバルなトラフィック流入への期待が短期的なモメンタムを支えているとの見方だ。
ただ、テーマ性が薄れた後の急落リスクも大きく、短期売買には注意が必要との指摘もある。
韓国市場では、暗号資産交換業を巡る持ち分確保の動きも強まっている。Dunamu(Upbit運営会社)に続き、Coinoneについても証券会社や財務投資家(FI)による持ち分買収の候補として取り沙汰されており、取引所エコシステムの再編が進む可能性がある。
デジタル資産基本法の国会通過はなお不透明だが、金融投資業界では将来の成長分野を見据えた先行投資との受け止めも出ている。