Arm(写真=Shutterstock)

Armのルネ・ハースCEOは、エージェントAIの普及を背景に、データセンター向けCPUの需要が従来想定を上回るペースで拡大しているとの見方を示した。同じ電力条件でも、今後必要となるCPUコア数は現在の4倍超に膨らむ可能性があるという。台湾メディアのIT Homeが、2日(現地時間)のCOMPUTEX基調講演での発言として伝えた。

ハース氏は、過去2年間の生成AI投資が主にGPU中心で進んできた一方、エージェントAIの広がりによって演算需要の構造が変わりつつあると説明した。GPUが学習や推論でトークン生成を担うのに対し、エージェントAIは回答生成にとどまらず、継続的なタスク実行やツール呼び出し、ワークフロー管理、複数エージェント間の連携まで担うためだ。

その結果、トークンの管理や割り当て、各処理の調整、実行のオーケストレーションといった負荷は、CPUが担う比重が高まると指摘した。

Armは3月、独自の「Arm AGI CPU」を初めて公開した。従来のアーキテクチャIP提供にとどまらず、AIデータセンター向けCPU製品市場に参入した格好だ。同製品は、ArmのNeoverseアーキテクチャとCompute Subsystemプラットフォームを基盤に、大規模AIデータセンター向けに設計したとしている。

ハース氏は、Armが3月時点で「今後5年でCPU市場規模は1200億ドルを超える」との見通しを示した際、当時は市場から強気すぎるとの見方も出ていたと振り返った。ただ、足元ではエージェントAIの成長速度に対する認識が変わってきたとし、OpenAI Codex、Anthropic、Salesforce、ServiceNowなどが製品にエージェントを導入することで、CPU需要の拡大ペースが従来予測を上回っていると述べた。

Armは、電力効率をArm AGI CPUの中核的な競争力に位置付ける。Armによると、同製品は同等のx86システムと比べ、ワット当たり性能が約2倍高い。

構成例として、空冷システムでは36kWで8160コアのCPUと180TB超の低遅延メモリを、液冷システムでは200kWで4万5000超のコアと1PB超のメモリを提供できるとした。

ハース氏は、AIデータセンターの競争軸も、チップ単体の性能から電力当たりの演算能力へ移っていると強調した。x86ベースの2Uサーバー17基を搭載したラックでは4352コアを収容できるのに対し、Arm AGI CPUを採用した1Uサーバー30台の構成では8160コアを搭載できるという。

さらにArmは、ArmベースCPUを大規模導入した場合、約10GWの電力容量と100億ドル超のインフラ投資額を削減できる可能性があると試算した。

Arm AGI CPUは、OCIとByteDanceがすでに採用している。GoogleのAxion、AWSのGraviton、NVIDIAのGraceやVeraなど、データセンター向けCPUでもArmアーキテクチャの採用が広がっている。

こうした変化はPC市場にも波及している。NVIDIAが前日に公開したPC演算プラットフォーム「NVIDIA RTX Spark」には、MediaTekのカスタムGrace CPUを搭載しており、これもArmアーキテクチャをベースとする。

NVIDIAのジェンスン・ファンCEOは、今後のPCは人が直接アプリを操作する機器から、エージェントが作業を実行する演算プラットフォームへ変わっていくと述べた。新たなNVFP4モデル圧縮形式により、将来的にはPC上で1000億パラメータ規模のAIモデルを動かし、多くのエージェント処理をクラウドではなく端末側で直接こなせるようになるとの見通しも示した。

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