写真左から、Snowflakeのスリダル・ラマスワミCEO、クリスチャン・クライナーマン製品担当上級副社長

【サンフランシスコ=Chi-gyu Hwang】Snowflakeは年次カンファレンス「Snowflake Summit 2026」で、従来のデータ保存・分析基盤にとどまらず、企業のAIエージェント活用を支える中核的な基盤へと役割を広げる方針を示した。SAPやSalesforceに加え、AnthropicやOpenAIといったモデル開発企業まで含めた競争が激化するなか、同社は「データ重力」と運用データの蓄積を武器に主導権を狙う。

AIエージェント基盤を巡っては、これまで直接の競合関係が見えにくかった企業同士が、正面から競い合う構図が鮮明になってきた。業務アプリケーションに強みを持つSAPやSalesforceが存在感を高める一方、AnthropicやOpenAIも企業向けAIエージェントサービスへ急速に踏み込んでいる。

こうした競争環境について、Snowflakeのスリダル・ラマスワミCEOと、クリスチャン・クライナーマン製品担当上級副社長は1日(現地時間)、会場で開いたメディア・アナリスト向け説明会で、各社の強みを3つの軸で整理した。

両氏によると、SAPやSalesforceなどの業務アプリケーション企業は、営業プロセスや承認ワークフローといった業務コンテキストに強みを持つ。一方、モデル提供企業は既存事業の制約を受けにくく、新興勢力として機動的に革新を進めやすい点が優位性になり得るという。

これに対しSnowflakeは、企業データが集積する基盤を握っている点を差別化要因に挙げる。ラマスワミCEOは、データとデータ重力、そしてエンタープライズの文脈から出発していることが同社の強みだと説明した。データが集まる場所に、アプリケーションやサービスも自然と集積するという見方だ。

同CEOは競争の行方について、「現時点で誰が勝つかは分からない。歴史は、結果が出た後になって初めて勝者が当然だったように見せるものだ」と述べた。そのうえで、「SnowflakeはSnowflake IntelligenceとCortex Codeを実際に運用しており、利用パターンや失敗のポイントをデータとして蓄積できている。ユーザーがどのスキルでつまずくのか、どこで試行すらしないのかを直接把握できる」と強調した。

クライナーマン氏も、「エージェンティックインターフェースがユーザーとソフトウェアの関係を再定義しつつあるなか、この領域を外部に委ねるのは戦略上の大きなリスクだ」と指摘した。「自社製品を自ら運用すれば、どこで利用者がつまずき、どの機能が使われていないのかといったテレメトリデータを自前で取得できる。これは製品改善と顧客支援に直結する」と述べた。

ラマスワミCEOはまた、AnthropicとOpenAIがそれぞれ1兆ドル規模の企業へ成長し得るとの見方にも触れ、Snowflakeを含むすべてのソフトウェア企業が強い緊張感を持つべきだと語った。1兆ドルは約150兆円に相当する。

もっとも同氏は、オープンソースモデルの革新が加速するなかで、Snowflakeはクローズドモデルの収益に依存していない点を強調した。「モデル独立性によって、顧客のコストを素早く引き下げられる有利な立場にある。モデル独立性は企業に実質的な価値をもたらす要素になる」と述べた。

AIコストの最適化については、フロンティアモデルとオープンソースモデルを、業務の内容に応じて使い分ける流れが広がっていると説明した。ラマスワミCEOは「顧客フィードバックを10のカテゴリーに分類するだけなら、大規模モデルを使う必要はない」とする一方で、「コーディングや複雑な計画立案では、最上位モデルの推論能力が依然として大きな差を生む」と語った。

Snowflakeは、コーディングAIエージェント「Cortex Code」を巡り、単純なスキルを決定論的なコードとしてコンパイルし、モデルを呼び出さずに実行する方式も開発したと明らかにした。複雑な問いに対してのみモデルを使い、単純な反復作業は通常の計算処理でこなすことで、トークンコストの削減を狙う。

Cortex Codeがデータエンジニアリング業務に与える影響については、人員削減よりも役割転換を前面に押し出した。ラマスワミCEOは「データエンジニアやデータサイエンティストはCortex Codeを活用し、人事、財務、投資家対応など各部門で使える特化型エージェントを構築して、AIを全社へ広げる役割を担う」と説明した。

そのうえで、「データ部門の役割は大きく変わるが、同じ人材が企業内のAI革新を主導する存在として、むしろ重要性を高めていく」と述べた。

キーワード

#Snowflake #AIエージェント #データプラットフォーム #データ重力 #モデル独立性 #Cortex Code #オープンソースモデル
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.