NVIDIAが、米国で外国人専門人材の採用を拡大している。会計年度2026年上半期に取得したH-1B関連の職務認証は約1200件に上り、対象職種の基本給も最大48万8750ドル(約7331万円)と高水準だった。米テック業界でH-1Bビザを活用した採用が鈍る中でも、AI競争力の維持に向けた積極姿勢が際立っている。
Business Insiderが6月1日(現地時間)に報じたところによると、米テック業界では外国人材の採用が全体として鈍化している。トランプ政権による移民規制の強化を受け、一部企業がH-1Bビザのスポンサーを絞っているためだ。
こうした流れとは対照的に、NVIDIAはハードウェアやソフトウェアに加え、顧客対応や導入支援に関わる職種まで採用対象を広げている。AI分野での競争力維持に必要な人材を積極的に確保しているとの見方が強い。
他の大手テック企業では減速が目立つ。Googleの今年第2四半期のH-1B関連件数は約2200件で、前年同期の5100件から減少した。Amazonも同期間に約6100件から4300件へ減っており、NVIDIAの動きが業界全体の慎重姿勢とは異なることを示している。
注目されるのは報酬水準の高さだ。連邦政府への提出書類に基づく基本給では、ソフトウェアエンジニアが最大39万1000ドル(約5865万円)、専門研究員が最大35万6500ドル(約5348万円)だった。もっとも、これらは基本給のみで、総報酬に占める割合が大きいストックオプションや賞与は含まれていない。
NVIDIAは、株価上昇を背景に株式報酬の比重が大きい企業として知られる。基本給以外の報酬を加味すれば、実際の総報酬はさらに大きくなる可能性がある。年収全体のデータは開示していないものの、外国人採用に伴って提出された連邦書類から、主要職種の給与水準の一端が明らかになった。
職種別では、高度な研究・設計人材の基本給が特に高い。主任専門研究員は最大43万1250ドル(約6469万円)、主任アーキテクトは最大42万5500ドル(約6383万円)、主任システムソフトウェアエンジニアは最大43万1250ドル(約6469万円)だった。
管理職やディレクター職も高水準だった。プロダクトマネジャーは最大37万9500ドル(約5692万円)、ハードウェアエンジニアリングマネジャーは最大36万8000ドル(約5520万円)。主要職種で最も高かったのはアーキテクチャディレクターで、最大48万8750ドル(約7331万円)。ソフトウェアエンジニアリングディレクターとデベロッパーリレーションズディレクターも、それぞれ最大47万1500ドル(約7073万円)に達した。
NVIDIAは技術開発人材だけでなく、自社システムの導入を支援する顧客向け人材の拡充も進めている。今回確認されたプロダクトマネジャー、プログラムマネジャー、ソリューションアーキテクト、デベロッパーリレーションズの報酬水準は、AIチップ販売にとどまらず、導入や運用支援まで含めて採用を広げていることを示している。
人材確保に対する経営陣の姿勢も明確だ。ジェンスン・フアンCEOはこれまで、グローバル人材の確保がNVIDIAの使命にとって極めて重要だと強調してきた。外国人専門人材の採用を継続する背景には、こうした認識があるとみられる。
今回の動きは、米テック企業の外国人材採用戦略が分岐する局面で表面化した。NVIDIAはH-1B関連の職務認証拡大と高水準の基本給を通じて、AIの中核人材を引き付け続けている。採用対象がハードウェア、ソフトウェア、顧客導入支援まで広がっている点も、同社の全方位の人材戦略を映し出している。