ビットコインは2日、7万ドル台まで下落し、7週間ぶりの安値を付けた。レバレッジをかけたロングポジションの清算が膨らんだ一方で、BinanceやOKXの上位トレーダーはロング比率を引き上げた。先物市場の未決済建玉も大きくは減っておらず、デリバティブ市場では強気姿勢を維持する動きもうかがえる。
Cointelegraphによると、下落の背景には米国とイランの軍事衝突再燃を受けたリスク回避の強まりがある。週初に入って市場参加者がポジション調整を進める中、ビットコインは下げ幅を広げた。
同日には、レバレッジをかけたビットコインのロングポジション約2億7600万ドル(約414億円)が清算された。
一方、デリバティブ市場では上位トレーダーのスタンスに変化が見られた。Binanceの上位トレーダーのロング・ショート比率は、1週間前の1.1倍から1.4倍に上昇した。ビットコインが先週火曜日に7万6500ドルを下回って以降、段階的にロングを積み増していたという。
OKXでも、上位トレーダーは先週木曜日から日曜日にかけてショート比率を高めていたが、月曜日にはロング寄りに転じた。ロング・ショート比率は1.9倍まで上昇した。
先物市場全体の未決済建玉は急減しなかった。主要取引所におけるビットコイン先物の未決済建玉は2日時点で435億ドル(約6兆5250億円)と、前週から大きな変化はなかった。清算は発生したものの、市場全体で一斉にポジション解消が進んだわけではないことを示している。
パーペチュアル先物のファンディングレートも再び上昇した。年率換算では、中立圏とされる6〜12%を上回り、約6カ月ぶりに13%水準まで上昇した。強気筋のセンチメント改善を示す一方、価格が一段と下落した場合には連鎖的な清算リスクが高まる可能性もある。
現物市場では売り圧力の強さが目立った。ブレント原油は、米国とイランの地政学リスクの高まりを受けて1バレル95ドル(約1万4250円)まで上昇した。イスラエルは週末、レバノン南部で軍事作戦を実施した。もっとも、ハイテク株中心のナスダック総合指数は2日に0.5%上昇している。
暗号資産市場からの資金流出も下押し要因となっている。Anthropicは新規株式公開(IPO)の届出書を非公開で提出し、イーロン・マスク氏のSpaceXもIPO申請書を正式に提出した。投資家の関心が人工知能(AI)関連銘柄に向かい、暗号資産市場から資金が流出しているとの見方が出ている。
ステーブルコインの動きも同様の流れを示した。TetherのUSDTは直近1週間、主要取引所で対ドル0.10%程度のディスカウント状態で取引された。資金が暗号資産市場から法定通貨側へ移っている可能性を示すシグナルと受け止められている。米国上場のビットコイン現物ETFでは、5月13日以降に34億6000万ドル(約5190億円)の純流出が発生した。
足元の調整局面では、直接的な下押し圧力は現物市場の売りにある構図がより鮮明になっている。デリバティブ指標には強気ポジションの持ち直しも見られるが、ロング・ショート比率の上昇だけでプロ投資家が明確に強気へ転じたと判断するのは難しい。資金流出の鈍化が確認されない限り、ビットコインの短期反発に対する市場の慎重姿勢は続きそうだ。