GitHub Copilotの新たな料金体系を巡り、利用者の反発が広がっている。6月1日から導入されたAIクレジット制により、通常どおり使っただけでも月間上限を想定以上のペースで消費したとする報告が相次いでいるためだ。
米ITメディアのArs Technicaによると、新制度では月次で付与されるAIクレジットを、利用した大規模言語モデル(LLM)や入出力トークン量に応じて消費する仕組みに改められた。これまでの定額中心の運用と比べ、実際のコストが見えにくくなったとの不満が利用者の間で強まっている。
この変更は4月に予告されていた。従来は契約プランごとに一定数のリクエストとプレミアムリクエストが付与されていたが、今後は月ごとのAIクレジットを配布し、利用量に応じてクレジットを消費する方式に切り替えた。1クレジットは0.01ドル相当の利用量にあたる。
有料プランごとの付与量は、月額10ドルのProが1500クレジット、月額39ドルのPro+が7000クレジット、月額100ドルのCopilot Maxが2万クレジット。ただ、同じCopilotでも、利用するLLMやトークン量によって消費クレジットが大きく変わる点が問題視されている。
GitHubは従来の料金体系について、「簡単なチャットの質問も、数時間に及ぶ自律的なコーディングセッションも、利用者にとっては同じ料金で扱われていた」と説明。増大する推論コストの相当部分を同社が負担してきたとして、新制度への移行に理解を求めている。
一方、利用者側は新体系が実際の利用実態に見合っていないと指摘する。GitHubの試算ツールを基に、過去1カ月分の利用を新料金に当てはめると、請求額が数千ドル規模に膨らむと主張する声も出ている。
具体的な利用例の共有も広がっている。複雑なプロンプト1回で171クレジットを消費したとの報告のほか、「いくつかのプロンプト」で700クレジットを使ったというケースもあった。Copilotに任せたコミット数回で5000クレジット減ったとする利用者もいる。単純な問い合わせで15クレジット、小規模な計画生成で100クレジットかかったとの反応も見られた。
Claude Sonnet 4.6を試した利用者は、「初日から慎重に使用を抑えたのに840クレジットを消費した」と投稿した。別の利用者も、「1日使っただけでProの月間上限の21%を使った。まだ本当に複雑な作業はしていない」と不満を示し、他サービスへの乗り換えを示唆した。
もっとも、使い方次第で負担を抑えられるとみる開発者もいる。開発者のアンリ・キンヌネンは、CopilotでClaude 5.3-codexを使った「生産的な1日」で消費したのは161クレジットだったと公表した。AIの利用を「極めて集中的で慎重な変更」に限定したと説明している。
同じく開発者のニール・ヒューイットは、数日前の会話を引き継いでCopilotを使う方法は非効率になったと指摘した。「会話履歴全体が毎回コンテキストとして再投入される」ため、トークン消費が膨らみやすいという。
モデルごとの料金差も、利用者負担を押し上げる要因とみられている。OpenAI GPT-5.4 nanoは、Copilot上で出力100万トークンあたり1.25ドル程度なのに対し、GPT-5.5では同規模の出力で30ドルかかる。利用者の間では、自動選択モードで単純な質問でもより高価なモデルに切り替わる場合があるとの体験談も出ている。
Ars Technicaが簡単なマインスイーパー作成のプロンプトをClaude Haiku 4.5で再実行したところ、約94クレジットを消費したという。小規模なサンプルプロジェクトでは許容範囲に見えても、大規模コードベースの修正やレビューといった複雑な作業では、コストが急増する可能性を示した格好だ。
こうした動きを受け、一部の利用者は、より大きな利用上限を提供する別のAIコーディングサービスへの移行を始めている。ただ、業界全体がCopilot型の従量課金へ向かう可能性も指摘されている。その場合、トークン効率の高いモデルが価格競争力で優位に立つとの見方もある。
実際、ある利用者はDeepSeekをGitHubのVS Code環境に連携し、1500万トークンを約7セントで処理したと共有した。GitHub Copilotの新料金体系は、AIコーディングツール市場で、性能に加えて実利用コストが主要な競争要素として浮上している現状を映し出している。
一方で、新制度を前提に運用を見直せば、コストを抑えながら使い続けられるとの声もある。SNS上では、集中的かつ意図的な変更に用途を絞れば、1日の利用で161クレジット、金額にして1.61ドルに収まったとする投稿も確認されている。