法務分野でもAI活用が広がっている(写真=Shutterstock)

OpenAIの法務部門で、ChatGPTとCodexを活用した社内コンプライアンス業務の自動化が進んでいる。コーディング経験のない法務担当者がツールを内製し、社内ポリシーの作成支援やメールの分類、回答案の作成、処理状況の記録に役立てている。

Business Insiderが6月1日(現地時間)に報じたところによると、OpenAIで企業コンプライアンスを担当するニコル・ディアズ氏は、入社から1年でこうした業務ツールを構築した。担当するのは同社の対外提供製品ではなく、事業運営が法令や倫理基準を遵守しているかを確認する社内業務だ。

まず着手したのは、社内ポリシー文書の整備だった。法律事務所から受け取るポリシー文書は法律用語が多く、文章も長いため、従業員が理解しやすく実務で使いやすい形に整理し直す必要があった。そこでChatGPT内に「Simplify」という機能を設け、この作業を効率化した。

従業員からの問い合わせ対応も変わった。ディアズ氏がCodexで構築したシステムは、毎日午後5時に受信箱から法務対応が必要なメールを抽出し、リスク別に分類する。あらかじめ用意したガイドラインに基づいて回答案を作成し、高リスク案件は同氏が確認すべき案件として表示する。

このシステムは、問い合わせの種類や回答方法、処理時間も記録する。従業員がどこでつまずきやすいのか、社内ポリシーのどの部分をより明確にすべきかを把握する材料にもなっている。

こうしたOpenAI社内の取り組みは、リーガルテック市場の潮流とも重なる。法律事務所や企業法務が専用の法務ソフト導入を検討するなか、汎用AIモデルでも実用レベルのカスタム法務ツールを構築できることを示す事例といえる。

一方で、限界もある。ディアズ氏は、AIの回答が過度に「弁護士らしい」文体になりやすい点を最大の不満として挙げた。そこで、自身の話し方や文体を反映した「About Me」ファイルを作成し、複数の設定に反映させることで出力を調整している。

ディアズ氏の事例は、コーディング経験のない法務担当者でも、生成AIを使って反復業務向けのツールを自ら構築できることを示した。専門の法務ソフト導入を巡る流れが強まるなか、汎用AIモデルを現場業務に合わせて調整する手法も、法務自動化の有力な選択肢になりつつある。

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