Coinbaseはインドで、ルピーの直接入出金サービスを再開した。即時決済網「IMPS」を通じて現地の銀行口座との入出金に対応し、競争の激しいインド市場で事業拡大を再び狙う。
Cointelegraphが1日(現地時間)に報じたところによると、インドのユーザーはIMPS経由で、銀行口座とCoinbase口座の間でルピーの入出金が可能になった。
ユーザーは同一プラットフォーム上で、ルピーの入出金に加え、現物取引、無期限先物、Advanced Tradeを利用できる。Coinbaseはインド国内のルピー建て注文板も整備し、現地の流動性を束ねたうえでグローバル取引所に接続した。
今回のサービス再開は、同社のインド事業再拡大の一環だ。Coinbaseは2022年にインドへ進出した際、統合決済インターフェース(UPI)によるルピー入金に対応したが、開始から数日で中断していた。暗号資産取引でのUPI利用に対し、決済当局が慎重姿勢を示し、提携先も対応を停止したためとされる。
その後、Coinbaseは2025年3月にインド金融情報分析院(FIU)に登録した。同社は、この登録によってインドのマネーロンダリング対策(AML)制度の下で暗号資産取引サービスを提供する体制を整えたと説明している。今回のルピー対応は、こうした規制面の整備を踏まえた後続施策とみられる。
もっとも、インド市場はすでに競争が激しい。CoinDCX、CoinSwitch、ZebPay、WazirXといった地場取引所がユーザー獲得競争を繰り広げており、BinanceやKuCoinなどの海外取引所も広く利用されている。これまでは、銀行送金に直接対応するよりも、暗号資産を介したルートやP2P取引を通じてルピーへのアクセスを提供するケースが多かった。CoinbaseはIMPSによる直接送金対応を前面に打ち出し、差別化を図る構えだ。
インドは規制負担の重い市場でもある。デジタル資産の利益には30%の税率が適用され、一部取引には1%の源泉徴収税が課される。それでも海外取引所がインド市場を重視する背景には、巨大なユーザー基盤がある。Chainalysisは2025年の「グローバル暗号資産導入指数」で、インドを150超の国・地域の中で首位と評価した。小口のオンチェーン活動、中央集権型取引所とDeFiの利用、取引規模などを総合した結果だ。
Coinbaseは、現地の規制枠組みに対応したうえで、銀行口座と取引を直接結ぶ仕組みを整え、インド市場での再拡大に乗り出した。2022年は決済インフラ面の問題で後退を余儀なくされたが、今回はFIU登録とIMPS対応を軸に再参入の体制を整えた。銀行送金への直接対応が、地場取引所や海外勢との競争の中で実際のユーザー流入につながるかが焦点となる。