米国の研究インフラと日本の製造・素材分野の強みを結ぶ日米協力となる見通し。写真=Genesis Mission公式サイト

日本が、米政府主導の人工知能(AI)研究プロジェクト「Genesis Mission」に海外パートナーとして初めて参画することが分かった。日米は今後5年間で10億ドル(約1,500億円)を共同拠出し、科学研究の効率を高めるAI関連技術を共同開発する。正式な協力方針は6月上旬にも公表される見通しだ。

1日(現地時間)にCryptopolitanなどが報じた。報道によると、日本の文部科学省と経済産業省の高官が6月上旬に訪米し、Genesis Missionを所管する米エネルギー省との協力方針を正式に発表する予定という。

今回の連携により、日本は米国と歩調を合わせ、AIと関連先端技術分野での研究開発体制に本格的に加わる。中国を念頭に、日米が技術面での優位性確保を目指す枠組みとしても注目される。

Genesis Missionは、ドナルド・トランプ米大統領が2025年末の大統領令で始動させた政府主導のAIプログラムだ。大統領令では、連邦機関に分散しているAI研究課題、計算資源、データセットを一体的に運用するよう求めた。

米国は、国立研究所のスーパーコンピュータと科学データをAIシステムと連携させ、実験やシミュレーション、計算の高速化につなげる構想を描く。

対象は26分野に及ぶ。半導体開発、バイオテクノロジー、核融合、量子技術などが含まれる。ホワイトハウスはこれまで、同プロジェクトの規模と目標をマンハッタン計画やアポロ計画になぞらえて説明してきた。

2025年12月の発足時には、OpenAI、NVIDIA、Microsoft、Amazon Web Services、Googleなど24社が参加した。

米政府は、Genesis Missionの主な狙いとして研究生産性の引き上げを掲げる。マイケル・クラツィオス米大統領府科学技術政策局長は昨年12月、同事業について、米国の科学者や研究者の生産性を大幅に高める取り組みだと説明し、実験設計の自動化やシミュレーションの高速化、予測モデルの生成に役立つとしていた。

日本は材料科学、ロボティクス、半導体製造で強みを持つ。これらの分野は、Genesis Missionが重点領域とする26分野と重なる部分が大きい。

役割分担としては、米国が研究インフラと大規模AIの枠組みを担い、日本が製造基盤と産業技術の強みを持ち寄る形となる。

海外との連携は、制度設計の段階から織り込まれていた。Genesis Mission創設時の大統領令は、国家科学技術委員会に対し、科学技術政策局と連携して、事業目標に合致する研究能力を持つ海外パートナーを探すよう求めている。

日本はこの基準に基づき、最初に参画する外国政府となる。

今後は制度面の整備も焦点となる。大統領令では、エネルギー長官が研究の優先順位を毎年見直し、更新することを定めている。

あわせて、データアクセス、サイバーセキュリティー、知的財産権、輸出規制に関する標準化された協力ルールの整備も求めた。日本の参画によって、こうした運用枠組みは国際協力を前提に見直される可能性がある。

今回の合意は、AIを巡る競争が研究開発体制や産業サプライチェーン全体へと広がっている流れとも重なる。とりわけ半導体、量子技術、バイオテクノロジーのように、研究と製造が一体で進む分野で日米連携がどこまで広がるかが注目点となる。

6月上旬に予定される正式発表では、両国の具体的な役割分担に加え、共同研究の進め方やデータセキュリティー基準が主な論点になる見通しだ。

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