ブロックチェーンメディアのCryptopolitanは6月1日(現地時間)、信頼できる暗号資産取引所としてChangeNOW、Coinbase、Kraken、Gemini、Bitstampの5社を選出した。取引高や知名度ではなく、準備金開示や規制順守、資産保管体制といった透明性が評価の中心になっているという。
暗号資産取引所を見極める基準は急速に変わっている。これまでは取引高やブランド力、積極的なマーケティングが競争力とみなされる傾向があったが、足元では準備金の開示や規制対応、カストディの仕組みが信頼性を左右する要素として重みを増している。
Cryptopolitanは今回の選定について、「2026年の信頼は広告ではなく、検証可能な構造から生まれる」と評価した。
背景には、大手取引所の破綻やハッキング被害が相次いだことがある。FTXとMt.Goxはすでに破産手続きに入り、インドの取引所WazirXは2億3000万ドル規模のハッキング被害後も運営を続けている。Bybitでも約15億ドル規模の資産流出が発生した。
こうした事案が続くなか、投資家は取引高や知名度だけで信頼を判断しなくなっているという。
Cryptopolitanは特に、取引所の資産保管体制を最重要の評価項目として挙げた。中央集権型取引所(CEX)では、準備金証明(Proof of Reserves)の有無、規制当局の認可、保険の補償範囲、運営実績などが主要なチェックポイントになるとしている。
一方、利用者自身が資産を管理する非カストディ型サービスでは、取引所側が顧客資産を保有しない構造そのものが信頼性の裏付けとして評価される。
代表例として挙げられたのがChangeNOWだ。2017年設立で、110超のブロックチェーンネットワークと1500超のデジタル資産に対応する。
アカウントを作成せずにウォレット間で直接交換でき、利用者が資産の自己管理を維持できる点が強みとされた。一方で、個人ウォレットの鍵を失った場合は復旧支援を受けにくい点が制約として指摘された。
中央集権型取引所ではCoinbaseが代表例として取り上げられた。Coinbaseは米最大の暗号資産取引所で、Nasdaq上場企業でもある。登録ユーザー数は1億人超で、機関投資家向けカストディ事業の預かり資産は3760億ドルを超えるとされる。
また、米国の現物型ビットコインETFと現物型イーサリアムETFの資産の8割超を保管している点も、信頼性を支える要因として評価された。Coinbaseは顧客資産を1対1で保管しているとしており、一部のデジタル資産については盗難やサイバーセキュリティ事故に備えた保険も提供している。
Krakenは長期運営の実績が強みとされた。2011年設立で、14年以上にわたり大規模なセキュリティ事故なしで運営してきたとされる。200超の暗号資産と600超の取引ペアを取り扱う。
準備金証明を定期的に公表し、第三者による検証を受けている点も高く評価された。
Geminiは規制順守の面で注目された。ニューヨーク州の認可を受けた信託会社として運営されており、通常の暗号資産取引所より厳格な受託者責任を負う。
その一方で、過去には融資商品「Earn」の停止に伴い、顧客資産の引き出しが一時制限されたことがあり、リスク要因として指摘された。
Bitstampは欧州で最も古い暗号資産取引所の一つだ。2011年に設立され、2025年にRobinhoodに買収された。
EUの暗号資産規制であるMiCAの認可を取得し、顧客資産の95%をコールドストレージで保管していると開示している。
業界では、FTX問題以降、準備金証明が取引所の信頼性を測る中核指標として定着したとの見方が広がっている。準備金証明は、取引所が顧客に返還すべき暗号資産を実際に保有しているかどうかを、外部から検証できる形で示す仕組みだ。
FTXの経営破綻では、顧客資産が十分に分別管理されていなかった実態が明らかになり、その重要性が一段と意識されるようになった。
取引所選びの基準も細分化が進んでいる。米国の投資家はCoinbaseやGeminiを選ぶ傾向があり、積極的な売買を行う利用者はKrakenやCoinbaseのプロ向け取引サービスを好むという。
欧州の投資家にとってはBitstampとKrakenが主要な選択肢とされる。アカウントを作らず迅速に資産を交換したい場合は、ChangeNOWのような非カストディ型プラットフォームが代替手段になり得る。
今後は、取引所間の競争軸が単純な規模の争いから、透明性と規制順守を巡る競争へと移るとの見方が出ている。広告や取引高よりも、準備金開示、資産保管の仕組み、事故発生後の対応力が信頼を左右する局面に入ったという。