写真=Snowflakeのスリダル・ラマスワミCEO

【サンフランシスコ】Snowflakeは、AIエージェントを企業業務の中核に据える「Agentic Enterprise」戦略を打ち出した。スリダル・ラマスワミCEOは2日に開いた年次イベント「Snowflake Summit 2026」の基調講演で、企業データ、AIモデル、業務アプリ、Control Planeの4要素がその基盤になるとの考えを示した。

ラマスワミ氏は「エージェントは近い将来、企業全体で継続的かつ自律的に稼働する。Agentic Enterpriseが現実になる」と述べた。Snowflakeはデータ分析基盤の枠を超え、企業向けAIエージェント基盤へと事業領域を広げる姿勢を鮮明にしている。

同氏によると、第1の要素は顧客、財務、製品などの企業固有データ、第2はClaude OpusやOpenAIのモデルに代表されるAIモデルだ。第3にはGmail、Salesforce、SAPなどの業務アプリケーションを挙げた。第4が、これら3要素を横断的に統合・調整する「Agentic Control Plane」である。

ラマスワミ氏は、このControl PlaneをAgentic EnterpriseにおけるOSに相当する基盤だと位置付けた。個々のエージェントの性能が高くても、相互に文脈を共有できなければ、企業全体として整合性の取れた行動にはつながらないためだ。

同氏は「Control Planeがなければ、エージェントは孤立したまま動く」と説明した。例えば、財務領域のエージェントとサプライチェーン領域のエージェントの判断が食い違ったり、マーケティングのエージェントがカスタマーサポートのエージェントが把握している最新情報を参照しないままコンテンツを生成したりする可能性があるという。

Snowflakeは、このControl Planeを将来構想ではなく、すでに製品として具現化しているとした。構成要素として挙げたのが「Snowflake Intelligence」と「Cortex Code(Coco)」だ。

Snowflake Intelligenceは、ナレッジワーカー向けの個人業務エージェントで、自然言語でデータにアクセスできる。Cortex Codeは開発者やデータエンジニア向けのAIコーディングエージェントで、ラマスワミ氏は「Cocoを使えば6カ月かかっていた移行を6日で終えられる。自然言語だけで、アイデアを実際に動くパイプラインやアプリケーションに変換できる」と述べた。

一方で、同氏はAgentic Enterpriseの出発点はあくまでデータにあると強調した。データを「企業が持つ最も守りやすい競争優位の源泉」と位置付け、「AIを関連性が高く差別化された資産に変える鍵だ。データが分断されていれば、競争優位も埋もれてしまう」と語った。

Snowflakeは、AIを活用した移行機能、Postgres対応、継続的なデータ移動を担うOpenFlowなどを通じてデータ統合を支援している。Googleとの協業により、従来は完了まで時間を要した移行作業を数日で自動処理できるようになったとも説明した。

AIモデルについては、特定モデルへの依存ではなく柔軟性を重視する立場を示した。ラマスワミ氏は「モデル自体は差別化要因ではない。競合も同じモデルを使える」と述べ、価値は企業固有データと組み合わせたときに生まれると指摘した。その上で、AnthropicやOpenAIなど主要モデルベンダーとの連携を通じ、企業がワークロードに応じて最適なモデルを選べるようにするとした。

SnowflakeのAgentic Enterprise戦略は、Snowflake上のデータに閉じたものではない。他社製の主要業務アプリケーションも連携対象に含める方針だ。

このため同社は、AIが外部アプリケーション上のデータも活用できるようにするオープンソース技術「MCP(Model Context Protocol)」への投資を拡大している。直近では、エンタープライズ向けMCPを主力とするNatomaの買収も発表した。

ラマスワミ氏は「MCPは、AIシステムが多様なアプリケーションと接続する方法を単純化する」と説明した。Natomaの買収により、AIモデルはGoogle Drive、Jira、Slack、GitHub、Microsoft 365といった企業アプリケーションへの可視性を持つようになるという。加えて、AIとアプリケーションの相互作用は、Snowflakeのセキュリティとアクセス制御の枠組みの下で運用されるとした。

さらに同氏は、Natoma買収の意義について、Snowflakeが担うガバナンスの範囲をデータ管理にとどめず、AIの行動やワークフロー全体へ広げることにあると述べた。

基調講演の後半には、Anthropicの共同創業者兼社長のダニエラ・アモデイ氏も登壇し、AIの進化速度と企業戦略を巡って議論した。アモデイ氏は「1年前は企業の関心が実験段階にとどまっていたが、いまやAIは人材戦略、コーディング、金融、法務、ヘルスケアなど幅広い分野で中核基盤になっている」と述べた。

その上で、モデルに計算資源とデータを多く投入するほど性能は予測可能に向上しており、AI分野の急速な進歩は今後も続くとの見方を示した。企業に対しては、現在のモデル性能を前提に設計するのではなく、最終的に目指す大きな目標を定め、そこから逆算して今の段階から構築を進めるべきだと訴えた。

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