Strategyが、ビットコイン(BTC)32枚を売却した。長期保有を掲げてきた同社による実際の売却は2度目で、配当支払いと流動性確保を優先する姿勢が改めて浮き彫りになった。
Cryptopolitanが1日までに確認した開示資料によると、同社は5月26〜31日に32BTCを売却した。手数料などを反映した平均売却価格は1BTC当たり7万7135ドルで、売却総額は約250万ドル(約3億7500万円)だった。
同じ期間に、同社は普通株80万1994株も売却し、1億2830万ドル(約192億4500万円)を調達した。
市場はこの動きに敏感に反応した。MSTR株は寄り付き後に6%超下落し、ビットコイン価格も一時6万9000ドル(約1035万円)まで下落した。1月以降の安値水準となった。
ビットコイン現物ETFも10営業日連続の資金流出となり、設定来で最長の流出局面となった。
今回の売却は、同社がこれまで示してきた資金運用方針に沿う動きでもある。先月には投資家向けに、1株当たりのビットコイン保有量の改善や、優先株配当の支払い、財務体質の強化に資する場合には、ビットコインを売却する可能性があると説明していた。
ポン・レCEOは5月上旬の決算説明会で、同社の保有戦略の考え方を説明した。同CEOは、Strategyがビットコインを純増させる企業であり続けることを目指す一方、総保有量の拡大だけでなく、1株当たりのビットコイン保有量を高めることが長期的な企業価値の向上につながると述べた。
単純な保有数量ではなく、資本構成を踏まえて運用する姿勢を改めて示した形だ。
同社がビットコインを売却したのは、2022年12月以来となる。当時は高金利環境に加え、FTX破綻や融資会社、トレーディング企業、ヘッジファンドを巡る連鎖的な信用不安が重なり、暗号資産市場は大きく混乱した。今回はそれ以来の売却となったことで、市場の反応も一段と強まったとみられる。
同社はドル建て流動性の管理状況についても明らかにした。2025年12月1日以降、優先株配当と債務の利払いに充てるドル準備金を積み増しており、2026年5月31日時点で9億ドル(約1350億円)に達したという。
現金同等物のバッファーを維持しながら、優先株配当を継続する狙いがある。
優先株の配当計画も固まった。変動利付の永久優先株STRCについては、6月1日以降に始まる月次配当期間の年率配当を11.50%に据え置く。
取締役会は5月30日、複数の優先株に対する現金配当を承認した。支払日は6月30日、基準日は6月15日で、STREは同日をロンドン時間ベースで適用する。
銘柄別では、STRFが四半期配当として1株当たり2.50ドル(約375円)、STRCが6月分の月次配当として1株当たり0.958333333ドル(約144円)、STREが四半期配当として1株当たり2.50ユーロ、STRKが四半期配当として1株当たり2.00ドル(約300円)、STRDが四半期配当として1株当たり2.50ドル(約375円)をそれぞれ支払う。
Strategyは、ビットコイン総保有量の拡大方針を維持しつつも、配当原資や資金運用の観点から一部を売却し得ることを実際の取引で示した。流動性管理と1株当たりのビットコイン指標を併せて重視する戦略が鮮明になる中、追加売却の有無と市場の受け止め方が今後の焦点となる。