写真=聯合ニュース。全国化学繊維食品産業労働組合 Kakao支会(Kakao労組)が先月20日、京畿道城南市の板橋駅広場で「2026年賃金・団体交渉勝利決起大会」を開いた。

Kakaoの労使対立が、創業以来初めて本社でのストライキ局面に入った。Kakao労組は10日、4時間の時限ストと板橋での集会を実施する予定で、交渉の推移によっては争議を段階的に強める方針だ。発端は成果給交渉の決裂だが、争点は雇用安定や報酬制度、組織再編にまで広がっており、チョン・シナ代表の経営手腕も問われる展開となっている。

Kakao労組は10日、城南市の板橋駅周辺で4時間の時限ストを行う。あわせて組合員約1200人規模の集会とデモ行進も予定しており、関連日程は午前9時から午後4時にかけて板橋駅周辺とU-Space一帯で実施する計画だ。

労組は、直ちに全面ストに踏み切るのではなく、まずは時限ストに着手し、その後の交渉状況を見ながら争議の水準を引き上げる考えを示している。今回はKakao本社を含む5社が共同で参加し、本社でのストとしては創業以来初めてとなる。

Kakao本社の労使は先月27日、京畿地方労働委員会で賃金と成果給制度を巡る2回目の調整に臨んだが、約8時間に及ぶ協議でも合意には至らなかった。これにより、本社労組は合法的なスト権を確保した。

このほか、Kakao Pay、Kakao Enterprise、DK Techin、XL Gamesの4社もスト権を確保している。10日の争議行動は、本社とこれら4社を含む計5社の共同参加で行われ、ストは午前10時から4時間実施される予定だ。

◆成果給とRSUが対立の火種に 経営陣の報酬にも波及

直接の争点となっているのは、成果給の規模と、譲渡制限付き株式ユニット(RSU)を成果給に算入するかどうかだ。労組は報酬制度の見直しに加え、売却や分社化、構造調整の中止、雇用安定の確保も主要要求として掲げている。

労組は、経営判断の失敗で雇用不安を招きながら、経営陣が過大な報酬を独占する現在の報酬体系を改めるべきだと主張する。労使は、成果給の算定構造と、500万ウォン規模のRSUを成果給に含めるかどうかを巡って隔たりを埋められていない。業界では、労組側の要求水準が前年の営業利益の13〜15%に達するとの見方も出ている。

Kakaoは先月29日に公表した声明で、労組の要求は営業利益ベースで経営に大きな負担となる水準だと指摘した。将来投資の原資や株主価値も考慮する必要があり、受け入れは難しいとの立場を示した。

もっとも、今回の対立は単なる金額差にとどまらない。焦点は、報酬基準にどこまで予見可能性を持たせるかにも移っている。労組は成果給支給基準の明確化と制度化を求めているのに対し、会社側は複数の報酬案を提示しながらも、立場の隔たりを埋めるには至らなかったとされる。

つまり争点は「いくら払うか」だけではなく、「どの基準でどう算定するのか」にある。今回の交渉は、通常の賃金交渉というより、報酬制度の設計主導権を巡るせめぎ合いの色彩を強めている。

同時期にNaverが成果給の議論を賃金交渉から切り離し、基本給5.3%引き上げで妥結したこととは対照的だ。Naverはストックグラント制度を終了する代わりに、年俸ベースの報酬を800万ウォンずつ引き上げ、固定給の比重を高めることで交渉要因を減らした。一方のKakaoでは、成果給の仕組みとRSU算入基準が最後まで主要争点として残った。

◆報酬対立の背後に積もった不信感

報酬問題がここまで先鋭化した背景には、以前から蓄積していた不信感があるとの見方が強い。労組は先月28日の声明で、会社が交渉期間を通じて受け身の姿勢に終始したと批判。「交渉の過程で一方的に成果給を支給して交渉への信頼を損ね、交渉代表の度重なる交代や不十分な修正案提示によって対話の継続性も揺らいだ」と主張した。

労組は、今回の調整打ち切りそのものが「会社と社員の信頼関係が崩れていることを示す結果」だと位置付けている。

経営陣の報酬も改めて俎上に載っている。労組は、リュ・ヨンジュン前Kakao Pay代表、ホン・ウンテク前Kakao代表、ペク・サンヨプ前Kakao Enterprise代表ら、物議を醸した経営陣が受け取った報酬総額が数百億ウォンに上ると主張する。一般社員向けの成果給基準は不透明なまま運用される一方、経営陣には数億ウォン規模の成果給が支給されたというのが労組側の認識だ。

不信感の背景には、より長い経緯もある。Kakaoでは昨年、KakaoTalkの大規模改編時に法定労働時間の上限を超える勤務が雇用労働部に摘発されたほか、外部採用者を別職種で採用した後に開発職へ転換したとの疑惑も浮上した。

これに加え、過去にはKakao Pay経営陣によるストックオプション行使を巡る、いわゆる「食い逃げ」論争や、SMエンターテインメント買収過程での相場操縦容疑も重なった。こうした問題の積み重ねが、経営陣への不信を一段と強めたとの見方も出ている。今回の労使対立についても、社内外では、蓄積していた内部リスクが一気に噴き出した結果だと受け止める向きがある。

業界関係者の一人は「成果給の金額そのものより、算定基準に納得できないことの方が根本的な問題だ。基準が不透明であれば、たとえ結果が良くても不満は残る」と話す。

◆CPO退社で再燃した組織運営への疑問

報酬や信頼を巡る対立が続く中、組織体制にも揺らぎが出ている。昨年2月に外部から迎え、プロダクト組織を統括してきたホン・ミンテク最高プロダクト責任者(CPO)が先月31日付で退社したことが確認され、外部登用による経営体制を巡る社内の不満も再び表面化した。

ホンCPOは昨年9月、グリッド型フィードの導入などKakaoTalkの大幅改編を主導したが、利用者の反発や労働監督を招いたとの批判を残して退社した。労組は「KakaoTalkアップデートを巡る否定的な論争や、労使関係を巡る労働監督まで招きながら、何の説明もなく去った」と批判している。業界では、外部人材の登用に対する社内反発が、CPO体制終了の一因になったとの見方もある。

KakaoはホンCPOの退社後、後任CPOを新たに置かない方針だ。その代わり、既存のプロダクト組織をサービス領域とビジネス領域に二分し、分散していたデザイン組織を統合する方向で再編を進めている。各組織を担当する役員人事や詳細な発令は、今後順次固める予定だ。KakaoTalk組織内には、利用者とのコミュニケーション強化を目的とした「ユーザー・ファースト・タスクフォース(TF)」も新設する。

Kakaoがサービス機能とビジネス機能の切り分けを進めるのは、利用者体験と収益化の役割をそれぞれ明確にし、両者のバランスを立て直す狙いがあるとみられる。ただ、報酬基準への不信が解消されないまま組織再編が進めば、再編の趣旨とは別に、社内での受け止めが弱まる可能性もある。

◆長期化ならサービスより開発面に影響

短期的には、KakaoTalkやKakao Payなど主要サービスが直ちに停止する可能性は高くないとの見方が多い。主要サービスは自動化されたシステムと必要人員を前提に運用されているためだ。

一方で、ストが長期化したり、突発的な障害やセキュリティ問題、大規模アップデートが重なったりすれば、熟練人材の対応力や新機能開発のスケジュールに負荷がかかる可能性がある。

Kakaoの労使対立の本質は、成果給の額だけではない。報酬基準の不透明さへの問題意識が経営陣の報酬論争と結び付き、不信感は外部登用中心の組織運営そのものへと広がった。報酬問題が対立の出発点だとすれば、信頼の欠如は対立を拡大させた構造要因であり、組織再編はその延長線上に浮上した経営課題といえる。

10日の争議行動は、今後の労使関係を占う最初の分岐点になりそうだ。労組は4時間の時限ストを出発点に、交渉状況に応じて争議を段階的に強化する方針を示している。全面ストには至っていないものの、本社レベルでのストが現実味を帯びたことで、KakaoはKakaoTalkの組織再編、AI転換、サービス安定性の確保という課題を、労使対立と並行して進めなければならなくなった。

別の関係者は「Kakaoが今回の対立をどう収束させるかは、単なる労使問題にとどまらない。報酬制度と組織運営に対する社員の信頼を取り戻せなければ、組織再編やAI戦略も社内から推進力を失いかねない」と指摘した。

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