【サンフランシスコ】企業向けIT市場で、AIエージェントを業務活用の中心に据える動きが加速している。各社の競争軸も、開発支援にとどまらず、企業がAIエージェントを実際に使い始める際の「入口」を握れるかどうかに移りつつある。Snowflakeもこの領域への攻勢を強める。6月2日(現地時間)から5日まで米サンフランシスコのモスコーンセンターで開催する年次イベント「Snowflake Summit 2026」で、AIエージェント戦略の拡充と関連新製品を打ち出す。
Snowflakeはこれまで、データ保存と分析を中核とするクラウド型データプラットフォームで存在感を高めてきた。今回のイベントでは、その強みを土台に、企業のAIエージェント活用を支える上位レイヤーへ役割を広げる方針を鮮明にする見通しだ。
同社は一貫して、企業のAI活用の成否を左右するのはデータだと訴えてきた。AIエージェントでも同様に、質の高いデータを安全に全社で扱える環境があってこそ、実運用に耐える仕組みを構築できるとの立場を取る。
その延長線上でSnowflakeは、開発者だけでなく、現場の業務担当者もAIエージェントを直接作成・活用できる基盤を目指している。対象領域も既存のデータプラットフォームから、ガバナンス、コンテキスト管理、ビジネスロジックを含む領域へと広げている。
製品群もこの方向に沿って再編している。技術者や開発者向けには「Cortex AI」と「Cortex Code」、業務部門向けには「Snowflake Intelligence」を前面に押し出す構えだ。
このうちCortex Codeは、コーディングエージェントとしてAWS Glue、Databricks、オープンソースのPostgreSQLなど外部データシステムへの対応を拡大する。データを移行せずにアプリケーションを構築できるとしており、Visual Studio Codeとの統合やAnthropic Claude Codeのプラグインにも対応する。PythonとTypeScript向けの新SDKも用意し、自社アプリケーションへの機能組み込みを可能にする。
一方のSnowflake Intelligenceは、MCPを統合し、Google Gmail、Google Calendar、Google Docs、Atlassian Jira、Salesforce CRM、Slackとの連携を支援する。iPhoneアプリにも対応し、スマートフォンからのデータ参照やワークフロー実行を可能にする。加えて、複数段階の調査を経て出典付きレポートを生成する「Deep Research」、分析やワークフローを保存・共有する「Artifacts」も提供する。
Snowflakeは最近、エンタープライズ向けMCPプラットフォームのNatomatoを買収した。Snowflakeの外のさまざまなシステムと接続しながら、企業ユーザーがSnowflake上でAIエージェント活用を始められるようにする狙いを示す動きといえる。
もっとも、競争環境は厳しさを増している。近接領域のDatabricksに加え、Microsoft、SAP、Salesforce、Palantirも企業向けAIエージェントの主導権獲得を狙う。足元では、AIモデルを手掛けるOpenAIやAnthropicもSnowflakeに近い方向性を打ち出している。
Snowflakeにとって今回のイベントは、企業向けAIエージェント活用の入口として、どこまで明確な価値を示せるかを占う場となる。発表内容が実際の導入拡大や競争力強化につながるかが焦点だ。