暗号資産交換所大手のBinanceが、株式関連の新商品を投入するとの観測が浮上している。Xへの投稿や関連コードの解析を手掛かりに、市場ではトークン化株の取扱銘柄拡大や、利用導線の改善につながるのではないかとの見方が広がっている。
Coinpostによると、Binanceは1日、公式X(旧Twitter)アカウントで新たな投資商品の投入を示唆する投稿を公開した。
投稿には、干し草の山を意味する英単語「Haystack」を使った画像が含まれていた。コミュニティでは、これが「Hay Stock」を連想させる仕掛けだとして、株式投資関連の新サービスを示している可能性があるとの指摘が出ている。
暗号資産リサーチアカウントのSorividoは、Binance関連のソースコード解析を踏まえ、Ondo Financeの現物取引と、Binance独自の株式トークンサービス「BStocks」を組み合わせる構成になる可能性があると推定した。もっとも、Binanceは現時点で商品設計や投入時期などの詳細を明らかにしていない。
こうした観測が注目を集める背景には、Binanceがすでにトークン化株市場に参入していることがある。Binanceは今年2月、RWA(実物資産)関連の取引プラットフォーム「Binance Alpha」を通じて、Ondo Financeのトークン化証券商品の取り扱いを始めた。
このサービスでは、米国など一部地域を除く利用者を対象に、NVIDIAやAppleといった米主要企業の株式をトークンの形で売買できる。
ただ、現時点で取扱銘柄は限られている。Binance取引所の通常の現物市場ではなく、別途「Binance Wallet」上で提供されているため、利用できる場面も限定的だった。
業界では、新商品が投入されれば、既存サービスより取扱銘柄が増えるほか、アクセス面も改善する可能性があるとの見方が出ている。
保管・決済の枠組みに関する観測もある。一部アナリストは、米ブローカーディーラーのAlpacaが実株の保管と決済を担い、Binanceがトークン化された形での取引インフラを提供するモデルになる可能性を指摘しているが、現時点で公式な確認はない。
Binanceの動きは、ここにきて急拡大するトークン化株市場の流れとも重なる。市場調査会社The Blockによると、トークン化株のデリバティブ取引高は5月18日時点で35億7000万ドルと最高を更新した。
取引拡大は、Binanceとオンチェーンのデリバティブ取引所Hyperliquidが主導したと分析されている。
トークン化株市場では競争も激しさを増している。スイス拠点のデジタル資産プラットフォームBacked Financeが運営する「xStocks」は、2025年の提供開始時には約60銘柄だったが、現在は約100銘柄まで拡大した。2026年末までに500銘柄超の対応を目標に掲げている。
xStocksの累計取引規模も急拡大している。3月時点の累計取引額は250億ドルを超えた。Backed Financeの共同創業者、バル・グイ氏は「次の段階は米国の主要株をすべて提供することだ」と述べ、「長期的には世界の主要株式市場にまで対象を広げたい」としている。
同氏はさらに、「トークン化株は革新的な実験の段階を超え、真の金融インフラとして定着する時期に近づいている」との見方を示した。
業界では、Binanceの次の一手は新商品の投入にとどまらない意味を持つとみられている。暗号資産交換所がトークン化証券をどこまで中核サービスに組み込むのかを占う材料になり得るためだ。とりわけ、Binance Alphaの限定的な提供形態を超え、より多くの銘柄とアクセス経路が整えば、トークン化株市場の拡大を左右する可能性がある。