XRPL(XRP Ledger)が、実物資産(RWA)のトークン化市場で存在感を強めている。絶対規模ではなおEthereumが大きく先行するものの、資産発行の受け皿としての評価には変化の兆しが出始めた。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが5月31日(現地時間)に報じたところによると、XRPLはトークン化資産残高が4億ドル(約600億円)に達するまで15カ月だった。Ethereumが同水準に到達するまでに36カ月を要したのに比べ、2倍超のペースで拡大した計算になる。
RWAトークン化は、国債やマネー・マーケット・ファンド(MMF)、社債といった伝統金融資産をブロックチェーン上で発行・流通させる仕組みを指す。XRPデジタル資産トレジャリー(DAT)のEvernodeは、XRPLの伸びについて、一時的な急増ではなく、トークン化資産の発行先として選ばれるネットワークの基準が変わりつつある可能性を示していると分析した。
成長スピードだけを見れば、BNB ChainやPlumeはXRPLを上回った。ただ、背景は異なる。BNB Chainは特定資産への集中が成長を押し上げ、Plumeはトークン化市場の運営モデルがある程度固まった段階で立ち上がった。一方のXRPLは、こうした追い風に大きく依存せず、主要グループに並ぶ速度で拡大したと評価されている。
2026年に入ってからの伸びも際立つ。トークン化資産残高が2億ドル(約300億円)を超える14ネットワークのうち、XRPLの増加ペースはEthereumの2倍超だった。Ethereumの年初来成長率は約35%。SEI、Plume、zkSyncはXRPLを上回る伸びを示したが、もともとの規模が比較的小さいため、高い成長率が出やすい面があるという。
資金流入の形にも違いがある。XRPLでは、直近1年の新規トークン化活動の96%が20日間に集中した。少額資金が長期間にわたって積み上がったというより、大口発行体が短期間にまとまった資本をオンチェーン化した構図とみられる。レポートによれば、XRPLで流入額が大きかった上位3日は、いずれも単一の大口発行体が主導したパターンと一致した。
これに対しEthereumは、流入額上位20日を合計しても年間成長分の約3分の1にとどまった。参加主体の裾野が広く、資金流入も比較的分散している構造がうかがえる。
機関・企業向けのトークン化需要を取り込むネットワーク間でも、勢力図に変化が出ている。XRPLはこれまで、Algorand(ALGO)、Mantle(MNT)、Aptos(APT)と並び、機関需要を狙うチェーンの一角とみられてきた。1年前はこのうち3ネットワークのトークン化資産残高がXRPLを上回り、特にAlgorandはXRPLの2.6倍の規模だったが、足元ではいずれもXRPLを下回っている。
長期推移でも、XRPLの拡大は目立つ。XRPLで初めて一定規模のトークン化データが確認されたのは2024年9月で、残高は300万ドル(約4億5000万円)だった。そこから20カ月後には約4億400万ドル(約606億円)まで増え、約134倍に拡大した。
もっとも、トークン化資産残高の絶対額ではEthereumが187億ドル(約2兆8050億円)に達しており、依然として大差がある。ただ、レポートは、XRPLが300万ドルから4億400万ドルへ拡大した速度に注目する。同時期に成長局面に入ったレイヤー1チェーンと比べても、XRPLは近い出発点から最も急な絶対成長カーブを描いたとしている。
機関投資家や発行体がXRPLを選ぶ背景には、ネットワーク設計もある。XRPLは、24時間決済、3〜5秒のファイナリティ、セント未満の低コストに加え、資産発行機能やコンプライアンス機能を標準で備える。レポートは、こうした特徴が、規制下の金融取引をパブリックなインフラ上で運用する際に求められる条件と重なるとみる。実証実験や提携にとどまらず、本格的なトークン化業務でXRPLを採用する事例が増えているという。
今後の焦点は、この成長が一時的な大口発行にとどまるのか、それとも継続的な発行基盤の拡大につながるのかにある。現時点では、個人投資家主導の広がりというより、機関発行体の選好がXRPLに向かっている点が目立つ。RWAトークン化を巡る競争は、単純な成長速度だけでなく、発行体の獲得力と長期運用の実績が問われる局面に入りつつあり、ネットワーク間の主導権もこの点が左右する可能性がある。