NVIDIAのHGX H200 Tensor Core GPU(写真=NVIDIA)

NVIDIAの主力AIアクセラレーター「H200」の時間単価が、直近3週間で約40%下落した。AIインフラの逼迫が長期化するとの見方に変化の兆しが出ており、同社の価格決定力や割高感を巡る議論が再び市場で意識されている。

BeInCryptoが5月29日(現地時間)に報じたところによると、NVIDIAのH200 GPUの時間当たりレンタル料は、直近までの7ドル前後から足元では4ドル台まで低下した。AI計算需要の拡大を背景に続いてきたGPU不足が、緩和に向かうサインとして注目されている。

市場では、この動きを単なる値下がり以上の変化として見ている。これまでNVIDIAの高い企業価値を支えてきた要因の一つが、AI向けチップの供給不足が長く続くとの期待だったためだ。H200の価格が短期間で調整したことで、希少性プレミアムが想定より早く薄れる可能性も意識され始めた。

背景には、需要の重心が最新世代GPUの「Blackwell」へ移りつつあることがある。Ornn Computeの価格指数では、B200やGB200などBlackwellベースの製品が高いプレミアムを維持する一方、前世代の「Hopper」系GPUはネオクラウド市場全体で供給が徐々に安定しているという。

ABVのアナリスト、ティエリ・ボルジャト氏は「テクノロジー業界で最も戦略的な資産の一つの価格が、わずか3週間で40%近く下落した」と指摘。「AIインフラの中核資産で価値の再調整が始まった可能性がある」との見方を示した。

もっとも、ウォール街の見方はなお強気だ。Wedbushのダン・アイブス氏は、AI関連の設備投資拡大が続くとみて、NVIDIA株の投資判断を「アウトパフォーム」に据え置き、目標株価300ドルを維持した。市場調査会社の集計によると、43人のアナリストの平均目標株価も304ドルで、現在株価に対して40%超の上昇余地を見込んでいる。

業績面でもNVIDIAは高成長を維持している。直近四半期の売上高は816億ドルで、前年同期比85%増だった。H200の価格調整だけで、同社の成長シナリオが直ちに揺らぐとみる向きは多くない。

ただ、投資家の関心は次第に別の論点へ移りつつある。GPU不足の有無そのものより、AI投資が実際にどの程度の収益を生むのかが、より重要な変数になっているためだ。

Financial Timesの分析によると、2025〜2030年のAI投資収益率(ROI)の推計は、Microsoftがマイナス9.2%、Metaがマイナス28.8%だった。AIインフラ整備に巨額投資を続けるハイパースケーラーが十分な収益を生み出せなければ、今後の投資規模が鈍るとの懸念もある。

市場の焦点は、NVIDIAの売上高成長そのものから、価格決定力と需要の持続性へと移り始めている。Blackwellシリーズが高いプレミアムを維持する一方で、Hopper系GPUの値下がりが続けば、投資家はAI需要の質や持続可能性をこれまで以上に厳しく見極めることになりそうだ。

今回のH200の時間単価下落は、直ちにNVIDIAの業績を脅かす材料ではない。ただ、AIインフラ市場が供給不足の局面から需給正常化へ向かう可能性を示すシグナルとして、今後のNVIDIA株を巡る重要な論点になるとみられる。

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