Googleの新型フィットネストラッカー「Fitbit Air」が、心拍数や消費カロリーの測定では高価格帯スマートウォッチに迫る結果を示した。一方で、ランニング時の距離やペースの記録精度では差が出た。日常の健康管理用途では競争力がある半面、詳細なランニング分析を重視するユーザーには物足りなさが残る可能性がある。
TechRadarは5月31日、Fitbit AirとApple Watch Ultra 3を同時に装着して10kmのランニングテストを行った結果を報じた。
テストは夕方の10kmコースで実施した。筆者は左右の手首にそれぞれ両機を装着。基準機としてPolar H10心拍モニターの利用も試みたが、胸部ストラップの不具合により正確な比較データは得られなかったという。
まず注目されたのは心拍数の測定結果だ。平均心拍数の差は3bpmにとどまった。消費カロリーも大差はなく、Fitbit Airの方がApple Watch Ultra 3を25kcal未満上回ったが、日常的な運動記録という観点では同程度の水準と評価された。
TechRadarは、価格差を踏まえれば注目に値する結果だとしている。Fitbit Airの価格は99.99ドルで、Apple Watch Ultra 3の799ドルを大きく下回る。Apple Watch Ultra 3は過去のテストで専用の心拍測定機器に近い精度を示してきたとされ、その基準に照らしてもFitbit Airの心拍センサーには一定の信頼性があるとした。
一方、ランニング記録の精度では違いが鮮明になった。Fitbit AirはGPSを内蔵しておらず、スマートフォンのGPS情報に依存する。これに対し、Apple Watch Ultra 3は高精度GPSを内蔵しており、この差が実測値にも表れた。
平均ペースでは、Fitbit AirがApple Watch Ultra 3より1km当たり約10秒速く記録した。TechRadarは、当日の高い気温や起伏のあるコース条件を踏まえると、実走感ではApple Watch Ultra 3の記録の方が実際に近かったと説明している。
距離測定の差も大きかった。Apple Watch Ultra 3の総走行距離は10.03kmだったのに対し、Fitbit Airは10.43kmを記録。同じコースでも400m超の開きが生じた。TechRadarは「心拍数3bpmや23kcalの差は大きな問題ではないが、400m超の距離誤差と10秒のペース差は見過ごしにくい」と指摘した。
取得できる運動データの内容にも差があった。Apple Watch Ultra 3は、歩幅や上下動、接地時間など、ランニングフォームの分析に使える詳細データを表示した。一方のFitbit Airは、こうした専門指標には対応せず、運動中の歩数表示にとどまった。今回のテストで記録された歩数は合計9342歩だった。
TechRadarは、今回の比較でFitbit Airの立ち位置がより明確になったとしている。心拍数や消費カロリーなど健康管理機能は価格に対して高い競争力を持つ一方、専門的なランニングウォッチ並みの精密なトラッキング性能を期待するのは難しいという見方だ。
もっとも、一般ユーザーにとっては十分な性能との評価もできる。日常の健康管理や軽い運動の記録が主な目的であれば、絶対的な精度よりも一貫してデータを取得できることの方が重要になり得るためだ。
このため、Fitbit Airは99.99ドルの価格帯で心拍数や活動量を管理したい入門ユーザーにとって、有力な選択肢になりそうだ。半面、記録を重視するランナーやマラソン練習などで高精度な走行分析を求めるユーザーには、GPSを内蔵したスポーツウォッチの方が適しているといえる。