CMEが暗号資産先物・オプションの24時間取引を始めたことで、ビットコイン先物市場で週明けごとに意識されてきた「CMEギャップ」は、新たに生じにくくなった。市場の関心は、過去に残ったギャップが今後も相場の目安として機能するかどうかに移っている。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが5月31日付で報じたところによると、CMEは5月29日から暗号資産先物・オプションを24時間体制へ移行した。
これにより、2017年12月のビットコイン先物上場以来続いてきた市場構造は大きく変わる。これまでCMEのビットコイン先物は週末に取引が止まっていた一方、現物市場や海外の無期限先物市場は取引を続けていた。このため週末に価格が動くと、CMEの取引再開時にチャート上の空白、いわゆる「CMEギャップ」が生じていた。
このギャップは高い確率で埋まるとみなされ、ビットコインの短期売買で代表的な指標の一つとして定着していた。過去にはギャップ解消率が70~90%超と指摘される一方、機関投資家にとっては、規制下の取引環境では週末の価格変動をリアルタイムでヘッジしにくいという制約もあった。
制度変更を前に、市場では既存ギャップの位置にも注目が集まっていた。アナリストのダン・クリプト・トレーズは、ビットコインが直近のCMEギャップを埋めた後、残る少数のギャップに挟まれた大きなレンジ内で推移していると指摘。そのうえで、24時間取引への移行により新たなギャップは発生しなくなる一方、既存のギャップはチャート上に残り続けるとの見方を示した。
CMEは、ビットコイン、イーサリアム、ソラナなどを対象とする9つの契約を連続取引体制で運用する。定期メンテナンス時間として、平日は2分間、土曜日は2時間を設ける。
この変更により、ポートフォリオマネジャーやETF発行体、企業の財務部門は、週末のエクスポージャーを規制市場でリアルタイムにヘッジしやすくなる。
CMEも需要の強さを強調している。CMEグループで株式・FX・オルタナティブ商品部門のグローバル責任者を務めるティム・マコート氏は発表文で、デジタル資産市場におけるリスク管理需要が過去最高水準に達したと説明した。
同氏によると、こうした需要を背景に、2025年の暗号資産先物・オプションの名目ベース取引規模は3兆ドル(約450兆円)に達した。
商品ラインアップの拡充も進む。CMEは30日物のインプライド・ボラティリティを追跡する新商品「ビットコイン・ボラティリティ先物」を同日にも上場する予定だ。相場の方向性だけでなく、ボラティリティそのものを売買対象とする商品が加わることになる。
足元のビットコインは5月31日時点で7万3441ドル(約1101万円)近辺で推移し、週間では約3.7%下落した。チャート上には過去に形成されたギャップが3つ残っており、上値側では7万8500ドル(約1178万円)近辺と8万ドル(約1200万円)近辺、下値側では6万7000ドル(約1005万円)~7万ドル(約1050万円)のゾーンが意識されている。
市場では今後、連続取引の環境下でも、こうした過去のギャップがなお価格を引き寄せるのかが焦点となる。最初の「ギャップのない月曜日」を経て、CMEの出来高や建玉残高が、機関投資家の戦略見直しのスピードを測る手掛かりとして注視されている。