TeslaとSpaceXの統合時、イーロン・マスク氏の株式報酬が業績目標の達成なしでも発動する可能性があるとの指摘が出ている。写真=Reve AI

TeslaとSpaceXが統合した場合、イーロン・マスク氏向けの大型株式報酬が、事業面の目標達成を伴わないまま発動する可能性があるとの指摘が出ている。報酬契約にある「支配権変更」条項によって、合併や売却の際には業績目標が外れ、時価総額だけで報酬の可否が判断される仕組みになっているためだ。

電気自動車専門メディアのElectrekは5月31日(現地時間)、Teslaの報酬契約に含まれるこの条項に注目し、統合時の報酬算定が本来の成果連動型の設計と食い違う可能性があると報じた。

焦点となっているのは、Tesla株主が昨年末に承認したマスク氏の報酬案だ。この報酬制度は12の区分で構成され、各区分ごとに時価総額の拡大に加えて、事業上の目標達成を条件としている。Teslaはこれを「2025成果ベース株式契約」と位置付けている。

仕組み上は、単なる株価上昇ではなく、車両販売や完全自動運転(FSD)サブスクリプション、ロボット事業、商用ロボタクシー、長期的な収益性といった実質的な事業成果を求める内容とされている。

ただ、問題視されているのは契約に盛り込まれた支配権変更条項だ。合併や売却が発生した場合、業績目標は適用されず、報酬判定は時価総額基準のみで行われる構造になっているという。

現時点の株価水準では、12区分のすべてを満たしているわけではない。ただ、統合期待による株価上昇が加われば、報酬総額がさらに膨らむ可能性があるとの見方も出ている。

とりわけ、SpaceXが新規株式公開を終えた後、Teslaと株式交換で統合する場合に、この構造が現実味を帯びるとの分析がある。マスク氏は2022年にTwitterを440億ドルで買収し、2025年にはxAIを通じてこれを450億ドル相当で取引したことがある。

専門家の間では、マスク氏が自ら支配する企業同士の取引を重ね、高い企業価値評価を維持してきたパターンだとの指摘もある。

SpaceXの上場時期も重要な変数となる。ナスダックの規定変更により、SpaceXは新規株式公開後、従来の1年ではなく10日で指数に組み入れられる可能性がある。ナスダックやS&P500に連動する資金がSpaceX株を組み入れる過程で、大規模な資金流入が起きる可能性があるという。

その後、高い企業価値評価を背景に、Teslaとの株式交換による統合が進めば、両社の時価総額がさらに膨らむ可能性があるとの見方もある。

この過程でしわ寄せが及ぶのは既存株主となる可能性が高い。株式報酬には新株発行が伴うため、マスク氏の持ち分が増える一方で、既存株主の持ち分比率は希薄化するためだ。

業績目標を外す契約条項は、成果連動報酬とする説明と矛盾するとの批判も出ている。名称が「2025成果ベース株式契約」であるにもかかわらず、実際の事業成果を達成しなくても報酬が支払われる余地がある点が論点になっている。

マスク氏の報酬を巡る論争は、単なる金額の多寡を超え、契約構造や資金の流れの妥当性にまで広がっている。今後、SpaceXの新規株式公開や指数組み入れ、Teslaとの統合の可能性が重なれば、時価総額基準だけで報酬が発動するのか、既存株主の希薄化がどの程度進むのかが主要な争点になりそうだ。

キーワード

#Tesla #SpaceX #イーロン・マスク #株式報酬 #合併 #新規株式公開 #時価総額 #株主希薄化 #株式交換
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.