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Appleの年次開発者会議「WWDC」が6月8日から12日まで(現地時間)開催される。今回の焦点の一つは、次世代Siriを含むAI機能の進化だが、それと並んで、クラウドに過度に依存しないオンデバイスAI戦略をAppleがどこまで明確に打ち出すかにも関心が集まっている。

The Informationによると、Appleは今回のWWDCで、iPhoneやApple Watch、Mac向けに15年にわたり自社チップを開発してきた実績を前面に出し、オンデバイスAIの競争力を強く訴える方針だ。報道は、WWDCの計画に詳しい複数の関係者の話として伝えた。

現在のAIモデルの多くは、高性能AIチップを大量に備えたデータセンターで処理され、クラウド経由で提供されている。Appleの端末向けAI機能も例外ではなく、WWDCで披露されるとみられる次世代Siriでも、一部のユーザー問い合わせはAppleとGoogleの提携の下、Googleのクラウド基盤で処理されるという。

もっとも、クラウドAIは性能面で優位な半面、コストやプライバシーの面で課題を抱える。AIを端末上で直接動かせば、データ流出リスクを抑えつつ、処理コストの削減も見込める。

最近は、多くの企業でAIのトークンコストが経営課題として意識されるようになっており、オンデバイスAIはクラウドAIの代替手段として注目度を高めている。Appleにとっても、他の巨大テック企業のようにAI向けデータセンターへ巨額投資を続ける必要が薄れる点で、オンデバイスAIは採算面で有利な選択肢になり得る。

技術アナリストのリチャード・クラマーは投資家向けリポートで、Appleが保有するオンデバイスの演算能力の価値は約500億ドル(約7兆5000億円)に達すると試算した。その上で、「この演算能力は、実質的にユーザーの負担によって築かれたものだ」と指摘した。

Appleは昨年10月、全GPUコアにニューラルネットワークアクセラレータを組み込んだM5チップを公表した。同社によると、M5は300億パラメータ規模のモデルを3秒以内に実行できるという。オンデバイスAIの強化は、効率的なチップ設計にとどまらず、端末上で動作するAIモデルや、それを支えるソフトウェア基盤の拡充にも広がっている。

The Informationによれば、AppleはGoogleとの契約の一環として、自社端末上で動作可能な小型モデルの学習にGeminiを利用できるようになったという。さらに、AIモデルの小型化を後押しするスタートアップの買収も検討しているとされる。

買収候補の一つとして報じられているのが、端末上でのAI実行に特化したスタートアップのLiquidAIだ。The Informationは、関係者の話としてその可能性を伝えている。

一方で、クラウドではなくオンデバイスAIを前提にアプリケーションを開発するスタートアップも現れている。WebAIはその一例で、Appleのチップ上で動作するエンタープライズ向けAIアプリケーションを強みとし、航空業界の顧客向けにAIツールを提供している。

同社のAIアプリケーションはクラウドではなくiPadやMac上で動作し、ボーイング製エンジンの構造や作動原理を説明する膨大なマニュアルを学習して開発されたという。こうした仕組みを基に、エンジン整備の支援に活用されている。

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