Binance創業者のチャンポン・ジャオ氏は、人工知能(AI)市場の成長が続く一方で、足元ではAI企業が乱立しており、その大半は最終的に市場から姿を消すとの見方を示した。AnthropicやOpenAIなど有力企業の企業価値が急騰するなかでも、収益性を巡る不透明感は強い。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、ジャオ氏は現地時間29日、SNS「X」への投稿で、AIは今後も指数関数的な成長を続けるとしつつ、現時点ではプレーヤーが多すぎると指摘した。
その上で、AI企業の大半は淘汰され、生き残った企業もバリュエーションの大きな変動に直面する可能性があるとした。新たな勝者が継続的に現れる余地はあるものの、黎明期の産業で資金が一斉に流入した後、最終的に少数の企業だけが長期的な勝者として残るという構図が、AI分野でも繰り返され得るとの見方を示した。
こうした発言が出た背景には、民間AI企業の企業価値の急騰がある。Anthropicは28日、シリーズHラウンドで650億ドルを調達したと発表した。調達後の企業価値は9650億ドルとされ、2月時点の3800億ドルから大きく切り上がった。資金調達にはAltimeter Capital、Dragoneer、Greenoaks、Sequoia Capitalが参加した。
Anthropicは、年換算売上高が470億ドルに達したと公表した。年初の300億ドルから増加し、前年の通期売上高100億ドルも大きく上回る水準となる。予測市場のJupiterでは、Anthropicの未上場時点の企業価値について、1兆ドルを上回る水準が織り込まれた。
OpenAIも3月の大型調達後、企業価値が8520億ドルと評価された。ChatGPTの開発元である同社は、Goldman SachsやMorgan Stanleyとともに非公開でのS-1提出に向けた準備を進めており、早ければ9月にも上場する可能性がある。
一方で、実際の収益性はなお見通しにくい。Uberの最高経営責任者(CEO)ダラ・コスロシャヒ氏は5月初旬、AI投資コストを賄うため採用ペースを落としていると明らかにした。投資に見合うだけの明確な収益は、まだ確認できていないとの認識も示した。
Uberの最高技術責任者(CTO)プラビン・ネパリ・ナガ氏は4月、Anthropicの「Claude Code」と開発ツール「Cursor」に割り当てた2026年予算を、わずか4カ月で使い切ったと述べた。Uberの最高執行責任者(COO)も、AIトークンの利用拡大が消費者向け製品の改善につながるかどうかは、なお見極めが必要だとしている。
こうした傾向はUberに限らない。2月に公表された米全米経済研究所(NBER)の資料によると、企業の90%が、AIは業務生産性に測定可能な影響を与えていないと回答した。OpenAIも少なくとも2028年までは年間損失が続く見通しを示しており、2028年の営業損失は740億ドルに達すると予想した。同時に、今後8年間でデータセンターに1兆4000億ドルを投じる計画も掲げている。
さらに、Microsoft、Amazon、Google、Oracleが確保した約2兆ドル規模の将来のクラウド契約のうち、半分超がAnthropicとOpenAIの需要に依存しているとされる。Anthropicについては今四半期に初の営業黒字を達成する可能性も指摘されているが、業界全体では依然として支出が収入を上回る構図が続いている。