Bitcoin(BTC)の長期保有者が保有する供給量が1580万BTCと過去最大に達した。もっとも、オンチェーン分析企業CryptoQuantは、これを必ずしも強気シグナルとはみていない。売買の低迷や新規資金流入の鈍さを映す可能性があるためだ。CoinPostが29日(現地時間)に報じた。
CryptoQuantは最新の週間レポートで、足元の長期保有者の供給量の増加について、弱材料として解釈できると指摘した。Bitcoinの取引が活発化せず、短期筋の買いが十分に入らない局面では、既存の保有分が時間の経過とともに長期保有分として計上されるため、長期保有者の供給量が増えやすいと説明している。
実際、短期保有者の供給量は、直近高値だった2025年12月24日の640万BTCから、2026年5月27日時点では約420万BTCまで減少した。減少幅は210万BTCを超える。
このうち約90万BTCは、Coinbaseで顧客資産として保管されていたBitcoinが、保有期間の経過によって短期保有分から長期保有分へ自動的に振り替えられた影響だという。長期保有者の数値が増えていても、それが大規模な新規資金流入を意味するわけではないというのがCryptoQuantの見方だ。
大口保有者の動きも同様の傾向を示した。1000~1万BTCを保有する「クジラ」の残高は、前年同月比でみて2026年に入ってから最も速いペースで減少している。CryptoQuantは、この流れが2022年の弱気相場時と重なると指摘した。
クジラの月間増加率は、2026年2月以降、ほぼゼロ近辺にとどまっているという。
100~1000BTCを保有する中大口も増加基調自体は維持しているが、伸びは急速に鈍化した。この層はビットコイン現物ETFや企業保有分の比重が大きく、年間増加量は2025年10月に97万BTCのピークを付けた後、トレンドを大きく下回る水準まで低下した。月間残高の増加率も、2025年9月以降低下が続いている。
CryptoQuantは、今回のサイクルをけん引してきた構造的需要が継続的に減速していると評価した。月次ベースでは、クジラと中大口の双方で蓄積がほぼ停滞しているとも分析している。
また、クジラの長期的な横ばい推移は、取引所を除く大口投資家が積極的な買い増し局面から中立、さらに売り越し寄りへと移行した可能性を示唆すると付け加えた。
市場の反応という点では、これらの集団がこれまでBitcoinの構造的需要を支えてきた中核だったことが重要だ。CryptoQuantは過去データをもとに、両集団の月間残高増加率がそろってゼロ近辺まで低下する局面は、価格の継続的な下落に先行して現れやすかったと明らかにした。
今回のレポートが示すのは、長期保有の拡大そのものではなく、実際に新規の買いが市場へ流入しているかどうかを見極める必要があるという点だ。
今後の注目点は、長期保有者の供給量がさらに増えるかではなく、短期保有者の供給量が回復するか、そしてクジラと中大口が純買いに転じるかに移る。長期保有者の増加という表面的な指標だけでは、足元のBitcoin需要を楽観視しにくいことがレポートの核心といえる。