英国の自転車ブランドENGWEは、USB-C充電に対応した折りたたみ電動自転車「Zip」を発表した。約3秒で折りたためるコンパクト設計に加え、100WのUSB-C PD充電に対応し、一般的なノートPC用充電器でも充電できる点を特徴とする。価格は999ユーロ。
Electrekが5月28日(現地時間)に報じた。ENGWEは、携帯性と汎用性の高い充電方式を製品の中核に据える。
Zipは、折りたたむと20インチのキャリーケース並みの大きさになるという。集合住宅やエレベーター内、列車内、オフィスのデスク下など、限られたスペースでも保管しやすい設計とした。
車体重量はバッテリーを除いて16.9kg、バッテリー込みで約19kg。大型の折りたたみ電動自転車やファットタイヤモデルに比べて軽量である点を訴求する。バッテリーはフレーム内に収めた360Wh仕様で、LG製セルを採用。着脱にも対応し、充電や管理のしやすさにも配慮した。
走行性能は欧州の電動自転車規格に準拠する。250Wの後輪ハブモーターを搭載し、最大トルクは40Nm。最高速度は時速25kmに制限される。センサーにはトルクセンサーを採用し、ペダルの回転だけを検知する低価格帯のケイデンスセンサー方式よりも、自然で滑らかなアシストを実現するとしている。
最大航続距離は120km。ただし、この数値は低いアシストレベルと理想的な条件を前提としており、市街地走行では短くなる可能性がある。
最大の特徴の一つが100WのUSB-C PD充電への対応だ。専用充電器がなくても、一般的なノートPC用充電器で充電できる。学校やオフィスでも手軽に継ぎ足し充電できるほか、バッテリーをスマートフォンなどの充電に活用することも可能としている。
バッテリー配置にも工夫を盛り込んだ。バッテリーはフロントバッグ内に収めつつ、車体側に固定する構造を採用。屋外駐輪時の盗難リスクの低減にもつながるとしている。
装備面では、油圧式ディスクブレーキ、Shimanoの7段変速、一体型ライト、トルクセンサー式のペダルアシスト、サスペンションシートポストを搭載した。前後サスペンションは省いた一方、乗り心地に配慮した構成とした。
今回のZipについては、ENGWEの製品戦略の変化を示すとの見方も出ている。これまで同社は、ファットタイヤの折りたたみ電動自転車や低価格帯モデルを中心とするブランドとして知られてきたが、今回はより軽量で洗練された都市向けモビリティに軸足を移したとの分析だ。
市場動向も変わりつつある。足元の電動自転車市場では、大型ファットタイヤやモペッド風モデルよりも、携帯性と実用性を重視した軽量な通勤向けモデルへの需要が再び高まっているという。一方で、ZipはBromptonのようなプレミアム折りたたみブランドと直接競合する製品ではないとの評価もある。比較的手ごろな価格で、持ち運びやすい都市向け電動自転車の選択肢を示した点に意味があるとみられている。
業界では今後、低価格帯の電動自転車でも、USB-Cを軸にした汎用充電と携帯性重視の設計が広がる可能性に注目が集まりそうだ。