フランスの半導体企業Sequans Communicationsは28日、保有するビットコイン(BTC)658BTCを段階的に売却し、ビットコイン財務戦略を終了すると発表した。転換社債の全額償還を終えたことを受け、今後はIoT向け半導体事業に経営資源を集中する。
Cointelegraphによると、同社は2025年6月に始めたデジタル資産を活用した財務戦略を終了し、本業であるIoT向け半導体事業の成長に改めて注力する方針を示した。
現在の保有量は658BTC。公表時点の時価は約4800万ドルという。保有分には担保設定がなく、売却制限も付されていないとしており、残るBTCは順次現金化する。
戦略転換の背景には債務整理がある。Sequansは2025年7月に発行した転換社債を全額償還したと明らかにし、その過程で一部のビットコインを売却して償還資金を確保したと説明した。負債圧縮と資本構成の整理を進めたうえで、暗号資産ではなく本業へ軸足を戻す。
ジョルジュ・カラム最高経営責任者(CEO)は「当社はIoT半導体事業の拡大に全面的に集中している」とコメントした。今回の発表では暗号資産投資の追加拡大には言及しておらず、昨年の強気姿勢から方針を転換した格好だ。
同社は当時、3億8400万ドル規模の株式関連証券と転換社債の売却計画を打ち出し、ビットコインを魅力的な長期投資先と位置付けていた。
市場の受け止めは一様ではない。Sequans株は発表後の寄り付き直後に14.5%超上昇した一方、前年6月以降ではなお75%超安い水準にある。ビットコイン価格も、同社が財務戦略を導入して以降は軟調で、同期間に10万5419ドルから7万3000ドル台へ30%超下落した。
今回の決定により、欧州株式市場に上場する企業のうち、ビットコインなど暗号資産に投資する企業数は40社に減少した。Bitcoin Treasuriesの集計では、米国上場企業は67社となっている。
一方、Strategyは5月18日、20億ドル規模のビットコイン追加購入を発表し、総保有量を84万3738BTCに拡大した。
同じフランス企業のCapital Bは先週、1500万ドル超のビットコインを追加購入し、総保有量を3135BTCに増やしたと発表した。ただ、発表後に株価は16%超下落した。Capital Bは、ビットコイン保有企業として世界25位規模で、ドイツのBitcoin Group SEに次ぐとしている。
Sequansの撤退は、欧州上場企業によるビットコイン財務戦略が一方向に拡大しているわけではないことを浮き彫りにした。同社は残るビットコインを段階的に売却し、暗号資産よりもIoT向け半導体事業の成長に資金を振り向ける方針だ。