Gartner(写真=Shutterstock)

IT市場調査会社Gartnerは、生成AIプロジェクトの半数以上が、アーキテクチャ選定の誤りや運用ノウハウ不足を背景に予算超過に陥るとの見通しを示した。企業が自社向けのカスタムモデル構築を進めるケースでも、コストの高さや開発の複雑さ、技術的負債を理由に途中で断念する例が大半を占めるとみている。The Registerが28日(現地時間)、報じた。

Gartnerはレポート「2026 Generative AI Hype Cycle」で30のAI技術を評価した。それによると、生産性安定期(Plateau of Productivity)に到達した技術はまだないという。生産性安定期は、技術が2〜3世代の進化を経て安定し、検証可能な実効性を発揮する段階を指す。

一方、再照明期にある技術としては、コーディングアシスタント、グラフィック・動画生成、コンテンツ要約など、生成AIを活用したアプリケーションが挙がった。知的財産権を巡る懸念や出力精度の問題は残るものの、基盤モデルの進化は速く、対象市場の過半ですでに導入が進んでいるという。

ドメイン特化型の生成AIモデルは、医療、金融、法律などの分野で、汎用モデルを上回る成果を示し、幻覚の発生も少ないとされた。ただし、相応の計算資源に加え、専門人材や継続的な保守が必要になる。Gartnerはこの分野を「思春期」段階と位置付け、本格普及までに2〜5年を要すると見込んでいる。

AIエージェントの通信プロトコルは、成熟度が最も低い領域の1つと評価された。代表例としてはMCPとA2Aがあるが、代替案も登場しており、いずれも急速に進化しているという。

Gartnerが特に大きな潜在力を持つとみる技術は2つある。1つは、ディープフェイクやなりすましを使った偽情報攻撃に対抗する「偽情報セキュリティ」ツールで、成熟まで5〜10年を要するとした。もう1つは、物理環境を抽象化し、AIによる予測や計画に活用する「ワールドモデル」だ。ロボットによる案内のほか、物理法則を正確に反映したAI動画生成にも有用だとしている。

またGartnerは、オープンモデル分野で最高水準の技術を活用するには、中国製モデルを視野に入れる必要がある可能性も指摘した。米国企業が自社モデルの公開を選別的に進めるなか、オープンモデルのイノベーション主導権は中国に移りつつあると分析している。

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