ビットコイン(BTC)が米国株高に逆行して軟調に推移している。足元で続いていた米株との連動が崩れつつあり、市場ではマイニング企業の売却増やAI投資へのシフト、米議会での暗号資産関連法案の停滞、Fedを巡る流動性期待の後退が重荷になっているとの見方が出ている。
Cointelegraphが28日(現地時間)に報じたところによると、ビットコインは7万8000ドル付近の上値抵抗線を突破できず、その後は下落基調を強めた。市場では、短期的な上昇再開は見込みにくいとの見方も広がっている。
直近2カ月は、ハイテク株中心の米株市場とビットコインの相関が高まっていた。だが今回は両者の値動きが乖離した。ビットコインが27日に7万5000ドルを下回る一方、Nasdaq100指数は過去最高値を更新し、Russell2000指数も高値を付けた。
市場では、全面的なリスクオフというより、資金がビットコインから他の資産に移ったとの見方が強い。
下落要因としてまず挙がっているのが、マイニング企業によるビットコイン売却とAI向け投資へのシフトだ。報道によると、こうした企業は保有するビットコイン準備金の一部を売却し、資金をAIデータセンターや高性能コンピューティング(HPC)向けインフラに再配分している。
実際、TeraWulfはケンタッキー州で1ギガワット(GW)規模のHPC設備を追加整備すると発表した。市場では、マイニング企業がビットコイン採掘よりもAI事業を成長分野として重視し始めており、それが供給圧力の強まりにつながっているとの分析が出ている。
大口保有者の資金移動も投資家心理を冷やした。オンチェーン分析プラットフォームLookonchainによると、Trump Media & Technology Groupは25日、約2億500万ドル相当の2650BTCを暗号資産取引所のアドレスに移した。
同社はドナルド・トランプ米大統領一族の支配下にあるとされ、平均11万8500ドル超の価格帯で1万1542BTCを買い集めていた。取引所への移動が直ちに売却を意味するわけではないが、市場では追加売りへの警戒材料として受け止められた。
米議会で暗号資産関連法案の審議が進んでいないことも重しとなっている。デジタル資産パリティ法(PARITY Act)は、採掘やステーキング報酬について売却時点まで課税対象から外す内容だが、公聴会の日程も定まっていない。
デジタル資産市場クラリティ法も、上院本会議での採決待ちの状態が続いており、具体的な日程は示されていない。SECとCFTCの監督権限を切り分け、デジタル資産市場の制度枠組みを整理する法案で、業界では重要法案と位置付けられてきた。
流動性期待の後退も相場の重荷となっている。市場では、Fedが国債買い入れを拡大し、バランスシートを再び膨らませるとの見方があったが、4月以降の総資産は6兆7000億ドル規模で横ばい圏にとどまっている。
記事は、原油高に伴うインフレ圧力がFedの追加緩和余地を狭めていると分析した。
一方、米株市場ではAI関連銘柄に資金が集中している。直近の世界の時価総額上位資産では、上昇率上位にAI半導体やインフラ関連が目立ったという。
SK hynixとMicronは時価総額1兆ドルを突破し、AI関連銘柄の一部は直近1週間で20%超上昇した。リスク資産選好そのものは維持されているものの、資金の向かい先がビットコインではなくAIテーマに傾いていることを示している。
こうした環境下では、ビットコインが短期間で8万2000ドルを明確に上抜けるのは容易ではないとの見方も出ている。市場参加者は今後、マイニング企業による追加売却の有無、米議会の暗号資産関連法案の日程、Fedの流動性政策の変化を主要な変数として注視している。