Anthropicの急成長は、大規模言語モデルを巡る需要の立ち上がりがいかに速いかを示している。ただ、こうした成長がこの先も続くとみるのは早計だ。Reuters Breakingviewsは、同社が初の調整後黒字を見込む一方で、学習や運用にかかるコスト負担の重さを踏まえると、9000億ドルの企業価値はなお実態とかい離していると論じた。
Reuters Breakingviewsによると、Anthropicの第1四半期売上高は48億ドル。第2四半期は109億ドルと、ほぼ倍増する見通しだ。
第2四半期の調整後営業利益は5億5900万ドルと、初の黒字を見込む。新モデルの学習コストは織り込んでいるが、株式報酬費用は除いている。
もっとも、チャットボットの学習・運用には引き続き巨額の投資が必要で、今後数年にわたって赤字が続く可能性は残る。
比較対象とされる他社を見ても、コスト負担の大きさは際立つ。イーロン・マスク氏が率いるxAIでは、SpaceXの関連書類から、第1四半期の研究開発費が24億ドルに達したことが明らかになった。売上高8億1800万ドルの約3倍に当たる水準だ。
AnthropicとOpenAIの売上高を単純に比べることもできない。Anthropicは販売パートナー向け配分を差し引かない総額ベースで売上高を示すのに対し、OpenAIはMicrosoftとの配分後の純額ベースで計上しているためだ。サム・アルトマン氏が明らかにした第1四半期の57億ドルと、ダリオ・アモデイ氏が言及した数値は前提が異なる。
AI需要そのものは拡大しているが、大企業顧客の多くはなお実証・試行の段階にある。Blockはチャットボットによる生産性向上を理由に大規模な人員削減を進めた一方、Uberは年間のAI予算を4月時点で使い切ったとされる。
Microsoftでも、トークンコストが予算を上回るペースで膨らんだため、Claude Codeの利用を絞っているという。
保守的に見積もっても、Anthropicの年間換算売上高は約310億ドルとなる。市場で取り沙汰される9000億ドルの企業価値は、その約30倍に相当する。
AI関連で高い評価を受けるPalantirは売上高の41倍で取引されているが、営業利益率は約60%ある。これに対し、Anthropicの想定利益率は第2四半期ベースで5%にとどまる。コスト上昇が続けば、この水準の維持すら容易ではない。
Reuters Breakingviewsは、こうしたバリュエーションについて、なお現実離れしていると評価した。