政府は5月27日、ボイスフィッシングの発生件数と被害額が2025年10月から2026年4月まで7カ月連続で減少したと明らかにした。電話番号の緊急遮断やAIを活用した情報共有、捜査と被害財産返還の強化など、政府横断の対策が効果を上げたとしている。
同日、ソウルの政府庁舎では、ユン・チャンリョル国務調整室長の主宰で「政府横断ボイスフィッシングTF」の点検会議が開かれた。会議には科学技術情報通信部、法務部、文化体育観光部、金融委員会、放送通信委員会、個人情報保護委員会、大検察庁、警察庁、金融監督院などが参加した。
政府は2025年8月に「ボイスフィッシング根絶総合対策」を策定して以降、電気通信金融詐欺統合対応団の発足、犯罪利用電話番号の緊急遮断、ボイスフィッシング情報を共有するAIプラットフォームの構築などを進めてきた。
その結果、2025年9月までは前年同期を上回っていたボイスフィッシング被害が、2025年10月以降は減少に転じた。2026年4月までの7カ月間の発生件数は9353件で、前年同期の1万4461件から35.3%減少した。被害額も7632億ウォンから4936億ウォンへ35.3%減った。
月別でも減少傾向は続いた。2026年2月の発生件数は前年同月比64.5%減、3月は41.2%減、4月は44.9%減だった。被害額も3月が55.8%減、4月が54.3%減となった。
政府は、被害者への接触段階から資金詐取、捜査・検挙に至るまで、各段階で対策を強化したことが成果につながったと分析している。
放送通信委員会は、不法スパム対策と官民連携により、SMSスパムの受信量を直近5年で最低水準まで抑えたと説明した。
科学技術情報通信部は、Samsung端末と通信大手3社の電話アプリで、通話内容をリアルタイムで分析し、ボイスフィッシングが疑われる通話を検知する機能の標準搭載を進めた。GoogleのAndroidスマートフォンには、セキュリティ機能「EFP(Enhanced Fraud Protection)」を適用し、悪質アプリのインストールをリアルタイムで遮断しているという。
警察庁は2025年11月に「フィッシング電話番号緊急遮断制度」を導入した。フィッシングに使われた疑いがある電話番号を10分以内に遮断する仕組みで、2026年4月までの緊急遮断回線数は累計6万5638回線に達した。
金融委員会は、ボイスフィッシング情報共有AIプラットフォームを通じて、2025年10月から2026年3月までに26万6000件超の情報を共有し、約419億ウォンの被害を防いだとしている。
捜査と犯罪収益の回収も強化した。警察庁は2025年9月から2026年4月までフィッシング犯罪の特別取り締まりを実施し、容疑者2万6406人を検挙した。
2026年1~4月には、詐欺犯罪510件について、407億ウォン相当の犯罪収益を起訴前に没収・追徴保全した。
また、カンボジアに逃れていた容疑者137人を、2回に分けてチャーター機で送還した。周辺国への拡散防止に向け、カンボジア以外の主要国でも詐欺組織の関係者288人を検挙し、151人を送還したという。
大検察庁も、ボイスフィッシング犯罪合同捜査部を中心に、2025年9月から2026年4月までに246人を立件し、132人を拘束した。
法務部は、被害額が5億ウォン未満でも被害者が多数に上る場合、最大で懲役30年を科すことができるよう、刑法を改正した。
会議では、投資勧誘チャットルームやロマンス詐欺など、SNSやメッセンジャーを悪用した新たな詐欺への対応策も議論した。あわせて、既存の総合対策の補完項目も共有した。
金融委員会は、ボイスフィッシング犯罪で実刑判決を受けた人物について、非対面での口座開設やインターネットバンキングなどの電子金融取引を一定期間制限できるよう、情報共有の法的根拠を整備する。
科学技術情報通信部は、外国人名義の携帯電話の不正開通を防ぐため、下半期から外国人登録証の写真情報の真偽確認を進める。
法務部と大検察庁は、いわゆる名義貸し口座の開設など、犯罪目的で設立されたペーパーカンパニーについて、法人解散制度の活用を促す方針だ。
大検察庁は、ボイスフィッシング専担部署を置くソウル東部地検に、犯罪収益回収の専担部署を新設する。「ボイスフィッシング捜査―犯罪収益回収―被害財産返還」を一体で進める体制を構築する考えだ。
個人情報保護委員会は、流出した個人情報を購入・流布する行為を処罰できる法的根拠を新設する方針を示した。
ユン・チャンリョル国務調整室長は、会議で「省庁間の縦割りを排し、関係機関が有機的に連携したことが、ボイスフィッシング減少につながった」と述べた。その上で、既存対策の補完と新たな詐欺への対応策を着実に実行するよう、各省庁に求めた。