米エネルギー省(DOE)は、処分対象として長期保管してきたプルトニウムの一部について、次世代炉の燃料としての活用を検討するため、原子力スタートアップ5社を選定した。今後は、燃料化の方式に加え、輸送・安全管理や供給網の整備が論点になる。
TechCrunchなどが26日(現地時間)に報じた。選ばれたのはOklo、Standard Nuclear、Shine Technologies、Flibe Energy、Exodys Energyの5社。DOEはこれまで、処分対象に分類してきたプルトニウム約34トンを把握しており、その一部を次世代炉向け燃料として活用する案が浮上している。
今回の動きは、米国が長年抱えてきたプルトニウム処理の課題と直結する。米国は冷戦期、核兵器向けに約100トン規模のプルトニウムを生産した。核備蓄の解体後は、高度な警備体制の下で長期保管を続けてきた。
プルトニウムは主に、ウランに中性子が照射される過程で生成される。核兵器に使われる一部の同位体は半減期が約2万4000年と長く、保管だけでは抜本的な解決にならないとの指摘が続いてきた。
選定企業は、それぞれ異なる手法でプルトニウム活用を検討している。Okloは、既存のウラン燃料とプルトニウムを併用できる原子炉を開発中で、プルトニウムの確保が初号機向け燃料の調達にもつながるとみられている。
Exodys Energyは、ウランとプルトニウムを混合した混合酸化物(MOX)燃料を前提とする原子炉を推進している。Flibe Energyは、プルトニウムと核分裂副産物を組み合わせて燃料に使う次世代炉の開発を進めている。業界では、今回の取り組みが単なる廃棄物処理にとどまらず、次世代原子力産業の育成につながる可能性にも関心が集まっている。
一方で、利益相反への懸念もある。クリス・ライト DOE長官は過去にOkloの取締役を務めていたが、政権入りに伴って退任し、保有株も売却したと説明している。
また、OpenAIのサム・アルトマンCEOも、自身のSPACであるAltCとOkloの合併後に取締役会長を務めたが、昨年退任した。
安全保障面の懸念も大きい。対象となるプルトニウムはもともと核兵器用物質であり、取り扱いや輸送には厳格な統制が求められるためだ。
核脅威防止イニシアチブ(NTI)のスコット・ロッカー副会長は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の取材に対し、「複数の国が過去にプルトニウム燃料の活用を試みたが、最終的には恒久処分が必要だとの結論に至った」と指摘した。
燃料供給網も課題として残る。MOX燃料は現在、主にフランスで生産されている。
米国は過去、サウスカロライナ州で国内生産施設の建設を進めたが、第1次トランプ政権時代にコスト増と工程の遅れを理由に事業は中断された。Okloと協力関係にある英国のNewcleoは、MOX燃料の生産施設を自前で整備する計画を公表している。
今後の焦点は、供給条件や安全管理体制を巡る詳細協議に移る見通しだ。5社は政府とともに、プルトニウムの輸送と安全管理の枠組みを中心に協議を進める。
長期保管中の核物質という難題を、次世代炉産業の育成と両立させながら解決できるのか。安全性と安全保障上の懸念を同時に克服できるかが問われる。