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ビットコインの生みの親とされるサトシ・ナカモトが保有すると推定されるビットコインが約109万BTCに上ることが分かった。現在の相場水準では842億ドル超に相当する規模で、流通量の約5.47%を占める。長期間動いていない休眠ウォレットとして知られる一方、巨額保有が需給に与える潜在的な影響や、初期アドレスの量子計算機リスクにも関心が集まっている。

ブロックチェーン専門メディアのThe Crypto Basicが現地時間26日に報じた。ビットコインの流通量は約2003万BTCで、サトシの推定保有量はそのうち約5.47%に当たる。

こうした推定の根拠として知られるのが、ネットワーク初期の採掘パターンに関する分析だ。研究者のセルヒオ・デミアン・レルナーは、初期ブロックの生成に特異な採掘パターンを見いだし、これを「パトシ・パターン」と名付けた。オンチェーン分析企業Arkhamは、サトシの保有量を109万6361BTCと推定している。

ビットコイン価格の上昇に伴い、推定資産額も膨らんでいる。2026年5月時点でビットコイン価格を7万6800ドルとすると、保有資産は約842億6000万ドルとなる。昨年、ビットコインが過去最高値の12万6198ドルを付けた局面では、評価額は1383億5000万ドルに達した計算だ。

もっとも、足元で実際に売却や大規模な移動の兆候が確認されたわけではない。Arkhamによると、サトシのウォレットから最後に送金が確認されたのは16年前。当時はビットコイン開発者のマイク・ハーンに32.51BTCを送った記録も含まれていた。その後は休眠状態が続いており、少額の入金記録を除けば追加の送金は確認されていないという。

サトシは2011年、マイク・ハーンに宛てた最後のメッセージで「私は別のことに集中している」と述べたとされる。その後、ハル・フィニー、ニック・サボ、クレイグ・ライトらの名前が候補として取り沙汰されたが、正体を裏付ける決定的な証拠は出ていない。

市場関係者がサトシのウォレットを注視する最大の理由は、保有量の大きさにある。推定保有量は、ビットコインの発行上限である2100万BTCを基準にしても5%を超える。仮にこれらが一度に取引所へ移されれば、巨額の売り圧力につながりかねないとの見方が根強い。

一方で、足元では市場の流動性が以前より厚みを増し、機関投資家の参入も進んでいる。このため、たとえ大口の売却があったとしても、市場が時間をかけて吸収できるとの見方もある。

サトシが実際にビットコインを売却したとの主張はこれまでも繰り返し浮上してきたが、検証可能な証拠は確認されていない。ブランドーがサトシによる1万BTCの売却を主張したこともあったが、多くの分析者はその見方に否定的だ。現時点では、サトシがビットコインを売却したことを示す確証はないとの見方が大勢を占めている。

セキュリティ面では、量子計算機が新たな論点として浮上している。初期のビットコインアドレスの一部は、公開鍵がブロックチェーン上に露出する仕組みとなっており、最新のアドレス形式に比べて量子攻撃への耐性が低い可能性が指摘されている。

Googleも、高度に発達した量子計算機が将来的に一部の暗号方式を無力化する可能性があるとの見方を示している。Glassnodeは、ビットコイン供給量の約30%に当たる604万BTCが、一定の量子露出リスクにさらされる可能性があると推計した。一方で、1399万BTC(69.8%)は、より強固なアドレス構造で保護されているとしている。

ビットコイン開発コミュニティでは、BIP-360やBIP-361を含め、量子耐性暗号への移行の可能性を巡る議論も進んでいる。

サトシの休眠ウォレットが注目され続ける理由は大きく2つある。100万BTC超の供給が将来の需給に与え得る影響と、初期アドレスが抱えるセキュリティ上の課題だ。現時点でウォレットは実際には休眠状態が続いているが、その存在自体が、ビットコイン市場の希少性と潜在リスクを同時に映し出す材料となっている。

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