Tetherはジョージア政府と協力し、同国通貨ラリに連動するステーブルコイン「GELT」の発行を進める。ジョージアで整備が進むデジタル資産規制の枠組みに沿って展開する方針だ。
Cointelegraphが5月25日(現地時間)に報じた。Tetherは、GELTがジョージア国内のデジタル決済や越境取引を後押しするとの見方を示している。一方で、具体的な仕組みや提供スキーム、規制上の扱いについては今後明らかにするとした。
現時点では、法的な発行主体、準備金の保管先、保有者に直接の償還権が認められるかどうかは公表されていない。発行時期も未定だ。
今回の計画は、ジョージアで進むステーブルコイン制度整備と歩調を合わせる動きといえる。ジョージア国立銀行は3月、ステーブルコインの発行規定を公表し、準備金管理、償還権、発行体に対する監督、マネーロンダリング対策(AML)の遵守基準などの枠組みを示した。
発行初期段階では、準備金による100%裏付けに加え、発行関連文書の整備や外部監査人による検証も求めている。
また、ジョージア国立銀行は、ステーブルコインの提供に先立って書面による事前同意の取得が必要だと明記した。関連サービスを提供できるのは中央銀行に登録された仮想資産サービス事業者(VASP)に限られ、未登録事業者は事前に登録手続きを終える必要がある。
流通するステーブルコインについても、流動性と信用力の要件を満たす準備資産で全額裏付けることが条件となっている。
ジョージア政府と中央銀行は、今回の協力をデジタル金融インフラ拡充の一環と位置付けている。ジョージアのイラクリ・コバヒゼ首相は、Tetherとの協力について「透明な金融世界の基盤整備に役立つ」と述べた。
ジョージア国立銀行のナティア・トゥルナバ総裁も、今回の協力は中央銀行が進めるデジタル金融インフラ高度化戦略の一部だとして歓迎する姿勢を示した。
事業戦略の面では、GELTはTetherの非ドル建てステーブルコイン拡大路線に加わる新たな銘柄となる。Tetherはすでに、メキシコペソ連動の「MXNT」やオフショア人民元連動の「CNHT」を展開しており、アラブ首長国連邦(UAE)ディルハム連動ステーブルコインの計画も公表している。
2026年1月には、米国市場向けのドル建てステーブルコイン「USAT」も立ち上げた。
もっとも、Tetherが通貨別ステーブルコインのラインアップを一貫して拡大してきたわけではない。ユーロ連動の「EURT」は新規発行を停止しており、償還も2025年11月に終了している。
CNHTについても、2027年2月以降は償還できなくなる予定だ。こうした流れを踏まえると、GELTは単なる新規トークンの追加にとどまらず、地域ごとの規制環境に応じてステーブルコインを選別的に展開するTetherの戦略を映す動きともいえる。
今後の焦点は、実際の発行スキームと規制当局の承認プロセスだ。ジョージアの制度では、事前の書面承認と外部検証が求められるため、GELTで準備金の運用方法や発行関連文書、償還の仕組みをどこまで開示するかが焦点となりそうだ。
Tetherは詳細を後日公表するとしており、追加発表によって事業の全体像が明らかになる見通しだ。