写真=Reve AI

AIインフラ投資が拡大する中、クラウドに加えてオンプレミス機器を主力とするハードウェア各社の存在感が高まっている。クラウド普及で企業向けオンプレミス機器ベンダーの存在感は薄れるとの見方もあったが、実際にはAIシフトが追い風となり、サーバーやストレージ、ネットワーク機器を手がける各社が成長を続けている。

半導体メーカーだけでなく、企業向けインフラを担うハードウェア企業もAI需要を背景に業績を伸ばしている。Dell TechnologiesやLenovoを含む関連企業では、AI関連需要を取り込んだ売上拡大や株価上昇が目立っている。

こうした中、AIインフラ市場で主導権を強めようとする動きも加速している。Dell Technologiesは年次カンファレンス「Dell Technologies World(DTW)」で、オンプレミス中心のAIインフラを強化し、トークノミクス時代に対応したソリューションを提供する方針を打ち出した。エージェンティックAIの普及に伴って企業のコスト負担が増す可能性を踏まえ、オンプレミス基盤を現実的な選択肢として訴求する戦略だ。

企業の間では、膨らむクラウド利用料やデータ主権への懸念を背景に、AI処理をどこで実行するかを見直す動きが広がっている。こうした流れの中で、企業向けPCもローカル推論の実行基盤として注目を集めている。

一方、AIを巡る企業動向も活発だ。OpenAIについては、投資銀行と連携して新規株式公開(IPO)に向けた書類提出の準備を進めていると海外メディアが報じた。報道によると、Goldman SachsやMorgan StanleyなどがIPO目論見書の草案作成を支援しているという。

Anthropicを巡っては、Blackstone、Hellman & Friedmanと共同出資したAIサービス会社が、サンフランシスコ拠点の応用AI企業Fractional AIを買収した。Fractional AIは2024年に、LiveRamp出身のクリス・テイラー氏、エディ・シーゲル氏、トラビス・メイ氏が共同創業した企業で、生成AIを実証段階から実運用へ移行したい企業の支援を強みとする。Anthropicはこのほか、OpenAIの共同創業者でTeslaのAI責任者を務めたアンドレイ・カーパシ氏を採用。さらに、OpenAIやGoogleも利用してきた開発者ツールのスタートアップStainlessも傘下に収めた。

Googleは年次開発者会議「Google I/O」で、エージェント型コーディングアプリ「Antigravity」2.0を公開した。コーディングAI分野での出遅れ感を払拭できるかが焦点となる。あわせて、ユーザーのデジタル環境を横断し、作業を代行できるパーソナルエージェント「Gemini Spark」も発表した。画像、音声、動画、テキストを同時に理解し、映像を生成するマルチモーダルAIモデル「Gemini Omni」も投入する。Blackstoneと、Googleの独自チップを活用したAIクラウドの合弁会社設立も進めている。

検索事業でも転換を進める。Googleは、リンク一覧を中心とした従来型の検索から、対話型AIインタフェース中心へと軸足を移す方針だ。25年以上続いてきた検索窓の発想そのものをAI基盤で再設計するのが柱で、検索の全面刷新を掲げるGoogleを横目に、同市場を狙うスタートアップにも大型資金が流入している。

YouTubeでは、対話型AI検索機能「Ask YouTube」を披露したのに続き、ショート動画制作ツールにGoogleのAI動画モデル「Gemini Omni」を追加した。

コンテンツ制作分野でも動きが出ている。Spotifyは、AIで個別最適化したポッドキャストを作成できるデスクトップアプリ「Studio by Spotify Labs」の提供を始めた。ユーザーが提供した資料を基にポッドキャストを生成するGoogleのNotebookLMとの競合が見込まれる。Stability AIは、6分20秒の楽曲を生成できる新たなオーディオモデル群「Stable Audio 3.0」を公開した。

Microsoftは「Frontier Transformation」戦略を通じ、働き方や事業運営を再設計して成長を加速したグローバル企業の最新事例を公表した。

韓国企業でもAIシフトが鮮明になっている。Hancomは社名も「Hancom」に改め、AI事業へ経営資源を集中する。とりわけ、ソブリン・エージェンティックOS企業への転換を加速する方針だ。

またHancomは、自社開発のAIエージェントをLG AI Researchの生成AIプラットフォーム「ChatEXAONE」に供給する。HancomのAIエージェント技術をChatEXAONEのサービスプラットフォームに組み込み、HancomのAIエージェント機能とLG AI Researchのサービスインフラを組み合わせたソリューション開発を進める。

HP Koreaは、韓国のAI企業UpstageとAIエージェント分野で戦略的業務提携(MOU)を結んだ。両社は、さまざまな規模の企業がHPのワークステーションと企業向けAIエージェントを基盤に、より安定したAI業務環境を構築できるよう支援する考えだ。

SK AXは、「グリーンウォッシング」など法的リスクにつながり得るコンテンツを事前に判別し、対応策を提示するAIサービス「AXgenticWire Compliance」の提供を開始した。ドキュメントAIエージェントを手がけるRominは、Naver Cloudから戦略投資を受け、クラウドベースの文書AI事業を拡大する。

韓国の化粧品大手Amorepacificは、クラウドとAIを軸に、事業の重心を化粧品からビューティーテックへ広げる取り組みを加速している。ヘルスケアサービスも視野に入れる。

企業向けソフトウェア市場では、AIエージェントを軸とした再編が急速に進んでいる。主導権争いが激化する中、AIデータを巡る攻防も大きな論点として浮上した。外部企業の製品が自社プラットフォームにアクセスできないよう制限する動きが広がっており、大手ビジネスソフト企業のMicrosoftもその流れに加わった。

AIスタートアップ市場では、AnthropicとOpenAIの「ビッグ2」への売上集中が鮮明になっている。The Informationの最近の報道によると、両社とその他AIスタートアップの売上格差は拡大しており、ビッグ2のシェアは89%に達した。

企業向けソフトウェアの世界では、旧来型ITの象徴とみなされてきたカスタマイズ戦略への評価も変わり始めた。背景にあるのはAIエージェントの台頭だ。業界では、企業ごとの内部環境に合わせてソフトウェアを作り込む個別最適化が、もはや過去の遺物ではなく、今後を左右するキーワードとして急浮上しているとの見方が出ている。

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