KTは12日、2026年1〜3月期の連結業績を発表した。売上高は6兆7784億ウォンで前年同期比1.0%減、営業利益は4827億ウォンで同29.9%減だった。前年に計上した一過性の分譲利益の反動に加え、各種費用の増加が利益を押し下げた。
同社が開示した暫定実績によると、単体ベースの売上高は4兆8346億ウォン、営業利益は3139億ウォン。2月から実施している顧客還元プログラムの費用や、関連事故に伴う一部費用を反映した。
一方で、有線・無線事業は底堅く推移し、AI転換(AX)関連事業も拡大している。KTはエージェンティックAIコンタクトセンター(AICC)の高度化を進め、顧客ごとのマーケティングチャネルとして提供するなど、AX事業を本格的に拡大する方針だ。
◆有線・無線は堅調、法人向けAXを拡大
無線事業では、不正な少額決済問題に伴う違約金免除期間中に一部で解約増の影響が出た。ただ、2月以降は純増に転じ、サービス売上高は前年同期比0.4%増となった。1〜3月期末の5G契約比率は、ハンドセット契約全体の82.7%だった。今後は顧客ニーズに合わせて「チョイス」プランを拡充し、ARPUの引き上げを図る。
有線事業の売上高は、契約件数の増加を背景に前年同期比0.8%増だった。インターネット事業はGiGAインターネットを中心とした加入者増と付加サービス利用の拡大で1.8%増加。メディア事業も、IPTV加入者の拡大とプレミアムセットトップボックスの利用増を追い風に、売上高が1.3%伸びた。
企業向けサービスの売上高は、通信事業の安定成長やAICCなど新規事業の拡大があった一方で、大型構築案件の終了が響き、前年同期比2.2%減となった。KTは1〜3月期に、災害安全通信網構築事業などの大型公共案件に加え、金融向けAICCやクラウド案件も受注し、中長期の成長基盤を固めたとしている。
Microsoft、Palantirとの戦略的パートナーシップでも初期成果が出始めている。KTは金融分野を中心にAX関連の新規案件を確保しており、今後は金融、公共、製造など業種別の導入実績を広げながら、法人向けAX事業を拡大する考えだ。
顧客信頼の回復に向けた取り組みも進める。KTは「顧客保護365タスクフォース」を立ち上げ、予防重視の顧客保護体制への転換を進めている。AIベースのリアルタイム検知、ワンストップ解決センター、顧客傾聴フォーラムの運営などを通じ、被害の未然防止と対応品質の向上を図る。2月からは6カ月間にわたり、通信、コンテンツ、生活関連の特典を盛り込んだ顧客還元プログラムも実施している。
◆AIデータセンターを拡大、クラウドは2桁成長見込む
KTグループ全体では、中核ポートフォリオを軸に安定した事業運営を続けた。KT Cloudはデータセンター需要とAI・クラウド需要の拡大を背景に、売上高は前年同期並みを確保した。
KT Cloudは、2025年11月に開設した加山データセンターの稼働率引き上げに加え、新規データセンター建設やAIファウンドリー事業の拡大を通じて、公共・法人向けAIクラウド市場の開拓を進める。KTは、5年以内に500MW規模のAIデータセンター整備を進めるとしており、KT Cloudの売上高についても前年に続き2桁成長を見込む。
KT Estateの売上高は、大田・槐亭洞のマンション分譲事業で工事進捗に伴い分譲収益が増えたことから、前年同期比72.9%増の2374億ウォンとなった。国内旅行需求の増加を受け、ホテルの客室稼働率と平均客室単価も上昇し、収益改善に寄与した。
コンテンツ子会社は、広告市場の鈍化やPlayD売却の影響があったものの、売上高は前年同期比1.9%増と増収を確保した。KT Studio GenieはClimaxなどプレミアムオリジナル作品のラインアップ拡充と流通チャネルの多様化で競争力を高めた。KT Millie’s Libraryも、会員数の増加とサブスクリプション売上の拡大を追い風に、改善基調を維持した。
K Bankは3月に上場を完了し、成長基盤を強化した。3月末時点の預金残高は28兆2200億ウォン、貸出残高は18兆7500億ウォン。1〜3月期には新規顧客54万人を獲得し、顧客数は1607万人に増えた。上場で確保した資本をもとに、中小企業・小規模事業者(SME)向け金融への参入とプラットフォーム競争力の強化を進める。
◆1〜3月期末の総資産は43兆5100億ウォン、年間最低配当は1株2400ウォン
KTの1〜3月期末の連結総資産は43兆5100億ウォンで、前年同期比3.1%増だった。負債は23兆5164億ウォンで1.4%減、資本は19兆9936億ウォンで9.0%増となった。1〜3月期の単体ベースの設備投資(CAPEX)は3042億ウォンを投じた。
KTはあわせて、2026〜2028年度の中期株主還元方針も公表した。単体ベースの調整後当期純利益の50%を株主還元の原資とし、非現金項目と非経常損益を除いた調整ベースで還元規模を算定する。これにより、一時的な損益変動が配当に与える影響を抑え、配当の安定性と予見可能性を高める狙いだ。
現金配当と自社株買い・消却を組み合わせる従来方針も維持する。2026年の年間最低配当は1株当たり2400ウォンとした。2026年1〜3月期の1株当たり配当は600ウォン。配当基準日は5月27日で、支払いは6月11日を予定する。
企業価値向上策として、KTは2月に2500億ウォン規模の自社株買い・消却計画を公表している。3月から6カ月間、信託契約を通じて自社株の取得を進めている。
ミン・ヘビョンCFOは「1〜3月期は、顧客被害に伴う還元プログラムの実施やセキュリティ体制の高度化を進める一方、B2C、B2Bの事業競争力を固めた時期だった」と説明した。そのうえで「AXプラットフォームカンパニーというビジョンのもと、AXを軸とした成長を継続し、収益性の改善と企業価値の向上につなげていく」と述べた。