Teslaの大型電動トラック「Semi」。写真=Tesla

Teslaの大型電動トラック「Semi」が、米国の港湾物流分野で数百台規模の受注を獲得している。実証段階を超え、本格商用化が現実味を帯びてきた。

米EVメディアのElectrekが5日(現地時間)に報じたところによると、カリフォルニア州の物流・充電インフラ関連企業がSemiを相次ぎ導入しており、電動トラック市場の勢力図にも変化が出始めている。WattEVやForum Mobilityを通じた大口契約は、Semiが経済性と実用性の両面で、ディーゼルトラックの有力な代替手段として浮上していることを示した格好だ。

とりわけ注目されるのは、WattEVが発表した370台の契約だ。カリフォルニア州内の単一案件としては最大規模で、このうち300台超がオークランド港の運用プログラムに投入される予定だという。

Forum Mobility経由では、Big F Transportが40台、NICA Container Freight Lineが20台をそれぞれ発注し、計60台に上る。両社はロサンゼルス港やロングビーチ港でのコンテナ輸送を担う港湾ドレージ向けに重点配備する計画だ。

Semiの主要市場として港湾物流が急浮上している背景には、電動トラックと相性のよい運行形態がある。港湾と近隣倉庫を往復する短距離の反復ルートは走行距離を見込みやすく、専用充電拠点を前提とした運用にも適しているためだ。

加えて、燃料費の占める比率が高い商用車市場では、経済性も導入判断を左右する。Semiはディーゼルトラックに比べ、車両のライフサイクル全体で40万ドル超のコスト削減が可能との分析もあり、総保有コスト(TCO)の優位性が評価されている。

主導権がTeslaに傾きつつあることを示す動きも出ている。DaimlerのeCascadiaを9台運用していたBig F Transportは、実走行テストを経てSemiを40台発注し、採用車種を切り替えた。

かつてTeslaの対抗馬とみられ、その後破綻したNikolaのトラックを少なくとも36台導入していたWattEVが、公開入札の結果としてTeslaを選定した点も象徴的だ。カリフォルニア州の補助金申請では、Semiが全体の約90%を占め、DaimlerやVolvoなど既存のトラックメーカーを大きく引き離しているという。

インフラと生産体制の整備も進んでいる。Teslaはネバダ州のギガファクトリーで、年間5万台の生産能力を持つ170万平方フィート規模のSemi専用生産ラインの稼働を開始した。

同時に、15州で64カ所のメガチャージャー設置計画を公表し、法人向け充電プログラム「Business Semi Charging」も立ち上げた。WattEVやForum Mobilityなどのパートナー各社は、車両リースとメガワット級充電インフラを組み合わせたトラック・アズ・ア・サービス(TaaS)を提供し、運送事業者の初期投資負担の軽減を図る。

業界では、Teslaが生産ラインを安定稼働できれば、初期生産分の相当部分はすでに積み上がっている待機需要で早期に消化されるとの見方が出ている。港湾物流で実証されつつある電動トラックの経済性が今後、中長距離輸送にも広がれば、今回の大型契約はSemiの存在感を商用車市場で一段と高める契機になりそうだ。

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