画像=Samsung Electronics公式YouTubeチャンネルより

Samsung Electronicsが、新婚世帯向け家電の販促を本格化している。プレミアム家電「Bespoke AI」シリーズに加え、高価格帯のMicro RGB TVも訴求対象に含め、結婚直後の需要を取り込む構えだ。婚姻件数が増加に転じ、結婚後2年以内の出産比率も上昇するなか、家電購入が集中しやすいタイミングを商機とみている。

Samsung Electronicsは最近、公式チャンネルで「Bespoke AIコンボ、AI家電が新婚を変える」など、新婚世帯向け訴求を前面に出した動画6本を公開した。対象製品は、Micro RGB TV、Bespoke AIインダクション、Bespoke AI食器洗い機、Bespoke AIファミリーハブ、Bespoke AIスチーム、Bespoke AIコンボの6製品。製品ごとに1本ずつ広告を制作する形で展開しており、訴求対象は今後さらに広がる可能性がある。

今回の施策で目を引くのが、Micro RGB TVを新婚世帯向けラインに組み込んだ点だ。初代115型は4490万ウォン(約494万円)、2026年モデルの85型も929万ウォン(約102万円)と高価格帯に属する。55〜100型の大型モデルが中心で、これまでは広いリビングを備えた高所得層向けのプレミアムテレビと位置付けられてきた。

Samsung Electronicsの映像ディスプレイ事業部は、Micro RGB投入時に「最高の画質体験を求める消費者需要に応え、プレミアムTV市場で主導権を確保する」としていた。こうした製品を新婚世帯向け施策に組み込んだことは、フラッグシップ製品の需要層を30代前半まで広げる狙いを示すものと受け止められる。

同社は1月の「ザ・ファーストルック・ソウル2026」で、Micro RGB、OLED、Neo QLEDなどの上位機種に加え、Mini LEDやUHDの普及帯を含む2026年型テレビ全ラインアップにAI機能を搭載すると明らかにした。上位機から普及機まで一体で訴求する戦略が、新婚世帯向け施策を通じてより鮮明になった格好だ。

背景には、人口動態の変化がある。統計当局によると、昨年の婚姻件数は24万件で前年比8.1%増となり、2018年以来7年ぶりの高水準を記録した。婚姻件数は長く減少が続いていたが、2023年に増加へ転じ、昨年もその流れが続いている。増加幅が最も大きかったのは男女とも30代前半で、男性は1万2000件(13.5%)、女性は1万1000件(13.2%)増えた。平均初婚年齢は男性33.9歳、女性31.6歳だった。

出生数も持ち直した。昨年の出生数は25万4500人で前年比6.8%増と、2010年以降で最大の伸びを記録した。合計特殊出生率は0.80となり、4年ぶりに0.8台へ回復した。とりわけ結婚後2年以内の出産比率は36.1%に上昇しており、結婚と出産が短い期間に集中する傾向が強まっている。これに伴い、結婚準備や育児に関連する家電需要も、特定のライフステージに集まりやすくなっている。

◆家電需要は結婚後2年に集中

こうした需要の山を見据え、Samsung ElectronicsがAIを前面に打ち出すのは、共働きの新婚世帯の家事負担軽減を意識しているためだ。最近は、進化したBixbyをAI家電に適用。大規模言語モデルを基盤に日常会話の理解力を高め、生成AIサービスのPerplexityと連携した「オープンQ&A」にも対応した。

例えば、「ファミリーハブに牛肉とサバを入れたからモードを変えて」と話しかけると、冷蔵庫側で「肉類/魚類モード」に自動設定される。「洗濯が終わったら床掃除をして」と指示すれば、洗濯機の終了後にロボット掃除機が稼働する。家事の手間を減らすことを重視した設計だ。

住環境への対応力も、新婚市場攻略の重要な軸となっている。衣類ケア製品は、一体型コンボ、結合型ワンボディ、分離型の洗濯機・乾燥機に細分化し、ワンルームから持ち家まで多様な住居形態に対応する構えだ。品質面の訴求も進めており、Bespoke AI製氷浄水器は14日、国内カウンタートップ浄水器として最多となる82種類の有害物質除去性能でNSF認証を取得した。

Samsung Electronicsが今後2年を重視するのは、婚姻増加と出生増加の間に時間差があるためだ。統計当局は、婚姻の増加が出生の増加につながるまでには約2年の時差があると分析している。昨年の婚姻件数が24万件まで伸びたことで、今後2年は新婚世帯の家電購入が集中的に発生する可能性が高い。テレビ、キッチン家電、洗濯機、浄水器までそろえた一括訴求を進める背景には、こうした見方がある。

従来は、結婚、出産、引っ越しなどの節目ごとに時間をかけて家電をそろえるケースが多かったが、足元では結婚準備の段階でまとめて購入する傾向が強まっている。このため同社にとって今後2年は、購入主体、購入時期、資金需要が重なる顧客層に対し、パッケージで一括販売できる重要な局面となる。

家電業界関係者は「共働きの新婚世帯が増え、夫婦が家電をまとめて直接購入する傾向が強まっている」と話す。30代前半の人口増が続く局面で、新婚需要をどこまで早く取り込めるかが、Samsung Electronicsの家電部門の国内販売を左右しそうだ。

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