欧州連合(EU)は、暗号資産規制の包括枠組み「MiCA(Markets in Crypto-Assets)」の見直しに向けた検証を進める。2027年6月30日までに適用状況を報告し、必要に応じて追加の立法提案を行う可能性がある。市場環境の変化を踏まえ、業界から広く意見を募るとともに、監督体制の見直しも議論の俎上に載っている。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphが4月15日(現地時間)に報じたところによると、欧州委員会の金融サービス部門で技術革新、デジタル転換、サイバーセキュリティを担当するアドバイザー、ピーター・カーステンス氏は、Paris Blockchain Week 2026でMiCAの見直し方針に言及した。
カーステンス氏は、焦点は現行規制の成否ではなく、市場の変化するスピードに制度が対応できているかどうかの検証にあると説明した。欧州委員会は市場参加者に対し、ルールが実際に機能しているか、事業者の成長を阻害していないかを確認していく考えだという。
今後の制度改正の内容は現時点で断定できないとしつつ、EUの金融規制は通常、段階的に整備されてきたとも述べた。その上で、時間の経過とともに「MiCA 2」のような追加的な制度対応が行われない方が、むしろ例外的になり得るとの見方を示した。
MiCAには、もともと見直し条項が盛り込まれている。EU官報によると、欧州委は2027年6月30日までにMiCAの適用状況を報告し、必要に応じて立法提案をあわせて提出できる。今回の発言は、この手続きを前に、当局が追加的な制度整備も選択肢として意識していることを示した形だ。
見直しの背景には、市場構造の変化がある。カーステンス氏は、MiCAの設計当時、暗号資産市場は少数の大型資産と多数の小規模トークンを中心に構成されていたと説明。その後、エコシステムが成熟したことで、現在の市場環境に適した枠組みになっているかを改めて検証する必要があると述べた。
欧州委は、業界から幅広く意見を募る姿勢も打ち出している。カーステンス氏は、公開の意見募集を幅広く進める考えを示し、市場参加者に対して、どのルールを拡充・調整し、どのルールを維持すべきかを率直に示してほしいと求めた。MiCAの見直しは、一方的な規制強化ではなく、運用段階で明らかになった制度の隙間や市場ニーズを反映するプロセスになり得るとの認識を示した。
MiCAを巡る個別制度は、すでに実務の現場で見直し要請が出始めている。Circleは3月24日、欧州委に対し、草案の一部を調整するよう要請した。ユーロ建てステーブルコインの決済利用を制限する基準の緩和や、暗号資産サービス提供事業者のアクセス対象の拡大を求める内容だ。
監督体制を巡る議論も続いている。EU当局者は4月3日、大手暗号資産企業に対する監督権限を欧州証券市場監督機構(ESMA)に移管する案を検討した。各国当局の執行の違いによって規制の一貫性が損なわれる可能性への懸念が背景にある。MiCAは条文の見直しだけでなく、実際の監督の枠組みにまで議論が広がりつつある。