Tetherがセルフカストディ型ウォレット「tether.wallet」を公開した(写真=Tether)

Tetherは4月14日、セルフカストディ型ウォレット「tether.wallet」を公開した。USDT、XAUT、ビットコインなどに対応し、送金時の手数料は別途ガストークンを用意せず、送金資産から支払える。暗号資産市場のインフラ提供で存在感を高めてきた同社が、エンドユーザー向けサービスを強化する動きとして注目される。

ブロックチェーンメディアのThe Block Cryptoによると、Tetherはこれまで流動性供給や決済、清算などの分野でインフラ事業者として事業を拡大してきた。一方で、一般ユーザーが直接利用する消費者向け製品は相対的に少なく、今回のウォレット公開は利用者との接点を広げる取り組みとみられる。

同社は、新ウォレットについて、既存の金融サービスに十分アクセスできない人々を主な想定ユーザーに据えると説明した。決済インフラを利用者自身の手に直接渡すことを重視した設計だという。

対応資産は絞り込んだ。デジタルドルのUSDT、トークン化された金のXAUT、ビットコインをサポートする。Tetherは「大半の人にとって実質的に重要な資産を中心に構成した」としており、対応銘柄数の拡大より、実際の決済・保管ニーズが大きい領域に注力した格好だ。

操作性の簡素化も図った。ユーザーはウォレットアドレスではなく、可読性の高い識別子を通じて送金できる。パオロ・アルドイノCEOは、デジタル資産の送金を「メッセージを送るように簡単に」することが目標だと説明し、仲介者を介さずに資産管理の主導権を維持できる点を強調した。

手数料体系も見直した。送金時には別途ガストークンを準備しなくても、送金する資産から手数料を支払える。秘密鍵はユーザーが自ら管理し、取引署名はすべて端末内で処理する。セルフカストディ型ウォレットの中核となる資産管理権限を、利用者側に残す設計を前面に打ち出した。

今回の公開は、Tetherの事業拡張戦略の一環でもある。ここ数カ月、同社は人間とAIエージェントの双方が利用できるセルフカストディ型ウォレットの開発を支援するため、ウォレット開発キットをオープンソースとして公開してきた。

また、動画プラットフォームのRumbleへの暗号資産ウォレット統合を支援し、投資先のWhopを通じてステーブルコイン決済システムの普及も後押ししてきた。

こうした流れの中で、tether.walletは単なる資産保管アプリではなく、Tetherの決済ネットワークを前面に押し出した製品と位置付けられる。同社は自社ネットワークが世界で5億7000万人超に到達しているとし、新アプリもその基盤上で稼働すると説明した。

Tetherはあわせて、将来の金融活動の担い手が人間に限られないとの見方も改めて示した。アルドイノCEOはこれまで、AIエージェントにはネイティブなセルフカストディ型ウォレットが必要であり、機械間決済ではビットコインやステーブルコインが使われるとの認識を示している。今回のアプリも同じ基盤の上に構築したとしている。

tether.walletは、Tetherのオープンソースのウォレット開発キットをベースに構築され、人間・機械・AIシステム間の取引を支援するよう設計された。対応ネットワークはEthereum、Polygon、Arbitrumに加え、ビットコインのライトニングネットワークを含む。Tetherのウォレット事業は、資産保管にとどまらず、ステーブルコイン決済とビットコイン送金を担うユーザー接点の拡大局面に入った。

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