Cohesityは4月14日、AI導入・運用に伴うリスクに対応する企業向け戦略「Enterprise AI Resilience」を説明した。従来のデータ保護やバックアップの枠を広げ、AIインフラの保護、AIエージェント由来のリスク低減、ガバナンスを確保したデータ活用までを一体で支援する。
同日午前に韓国で開いた記者懇談会で、サンジェイ・プーネンCEO兼社長は「防御を強化し、安全なデータ活用を支えることで、責任ある迅速なAI導入の基盤としてEnterprise AI Resilienceを確立していく」と述べた。
同氏は「企業がAIを本格展開するには、AI起因のリスクを管理し、障害発生時に迅速に復旧できるという確信が必要だ」と指摘。Cohesityは、AIインフラの保護、データアクセスのガバナンス、AIエージェントに起因するリスクの抑制、信頼できる企業データの活用基盤を提供するとした。
同社によると、AIシステムが実証段階から本番運用へ移る中で、企業にはサイバーレジリエンスの対象をAIスタック全体に広げることが求められている。これに対応し、AIやエージェントの実行基盤に加え、誤作動や想定外の振る舞い、悪意ある操作からの保護、AIで扱う機密データのガバナンスを支援する。
プーネン氏は、保護対象としてAIエージェントやメモリ、ベクターデータベース、モデル設定やポリシー、学習・微調整用データセット、企業データリポジトリを挙げ、「AIシステムを構成・運用する基盤全体を守る必要がある」と強調した。
その上で、CohesityはAI環境のイミュータブルスナップショットを保存し、エージェント、データ、関連インフラを同期した時点に復旧できるようにする考えを示した。システム全体を再構築せずにダウンタイムを抑えられるという。
また同氏は、「論理エラーや破損した入力、プロンプトインジェクション、悪意ある改ざんは、数秒で連鎖的な自動化ミスを引き起こしかねない」と説明。「検知だけでは不十分で、AIエージェントの誤作動や悪意ある挙動を抑え、迅速に復旧する仕組みが必要だ」と述べた。
このためCohesityは、ServiceNowやDatadogなどの運用・可観測性プラットフォームと連携し、AIエージェントに関するリスクシグナルをAPIベースの自動復旧ワークフローにつなげる。異常検知から復旧までの対応を自動化し、被害拡大の抑制を狙う。
機密データ管理でも機能を拡充する。AIシステムがクラウドやSaaS、ハイブリッド環境にまたがる企業データへアクセスするにつれ、継続的な可視化とガバナンスが欠かせなくなるためだ。
Cyeraベースの「Cohesity DSPM」は、機密データの発見・分類やアクセスパターンの監視を担う。復旧機能と組み合わせることで、データの露出や不正利用の検知や、影響を受けたデータやAIシステムを検証済みの正常な状態に戻すことができるとしている。
今回の戦略では、データ保護だけでなく、AIを活用した分析基盤の整備にも踏み込む。プーネン氏は「データを保護し、セキュリティを確保した後は、AIでインサイトを引き出すことが重要になる」と語った。
対象データもテキストにとどまらない。医療画像や動画などの非構造化データを含めたAI分析機能を強化していく考えだ。
その一環として、同社はモデルコンテキストプロトコル(MCP)ベースの連合セマンティック検索を発表した。Gleanを含むAIベースの企業向けツールが、データ複製やコンプライアンス上の問題を生じさせることなく、ガバナンスを保ったバックアップデータへ安全にアクセスできるようにする。
あわせて「Cohesity Gaia Catalog」も提供する。DatabricksやMicrosoft Fabricなど主要な分析基盤から保護済みデータへ直接アクセスできるようにし、データの鮮度とガバナンスを高めながら、AIシステムに信頼できる企業コンテキストを提供するとしている。
パートナー連携も強化する。Cyeraとは、CyeraベースのCohesity DSPMソリューションを通じて、クラウドやSaaS、AIワークフロー全体の機密データを自動で発見・分類する。データ可視性を高め、AI導入に伴うコンプライアンスリスクの低減や、データ露出時の復旧を支援する。
ServiceNowとは、企業による自律型AIエージェントの構築・運用を支援する。AIエージェントによってデータ削除や改変が起きた場合でも、Cohesityのイミュータブルスナップショットを使って、検証済みの基準点へリアルタイムに復旧できるようにする。
Datadogとの統合では、AIエージェントやクラウド環境の異常兆候をリアルタイムで検知し、APIベースの自動復旧ワークフローを実行する。セキュリティインシデントが高速に拡散する状況でも、迅速な対応を可能にする狙いだ。