イラン・テヘラン市内(写真=聯合ニュース)

米Wall Street Journalは9日、国際制裁の長期化と通貨安を背景に、イランで暗号資産市場が急拡大していると報じた。ブロックチェーン分析企業のChainalysisによると、市場規模は2025年に約78億ドルに達した。

Chainalysisは、イラン国内の暗号資産取引の過半に、イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)や関連勢力が関与していると分析している。

報道によれば、IRGCは制裁によってドル建て決済網へのアクセスを絶たれる中、暗号資産を決済手段として活用し、武器や原材料の調達を進めている。ビットコインのマイニングにも深く関与しているという。

イラン中央銀行も、為替相場の防衛や貿易決済に充てる目的で、米ドル連動型ステーブルコインのテザーを大規模に確保したと報じられた。

また、イランがホルムズ海峡を通過するタンカーに対し、暗号資産建てで通行料を徴収する構想を進めているのも、国際的な追跡を回避する狙いがあるとされる。

Wall Street Journalは、この構想がビットコイン市場にも影響を与えたと伝えた。米国がホルムズ海峡の再開放を条件とする停戦合意に言及した後、ビットコインが7万2000ドル台を上抜けた背景の一つとして、「海運会社が短期間に大量のビットコイン調達に動く」との観測があったという。

暗号資産の利用は国家主導の色彩が濃い一方、一般市民の間でも広がっている。高インフレ下で資産価値を守る手段としての需要に加え、海外送金の手段としても選好されているという。

一部の富裕層の間では、国内の暗号資産取引所に預けていた資産を個人ウォレットや海外取引所に移す動きも出ている。政府によるインターネット遮断や金融資産の差し押さえなど、非常措置への警戒が背景にある。

実際、2月28日の米国とイスラエルによる攻撃直後には、イラン最大の暗号資産取引所Nobitexからの資金流出が数分間で700%増加したと報じられた。

Nobitexは、イラン国民が自国通貨をテザーに換えたうえで、海外で別の通貨に交換する際の主要な窓口とされる。利用者は1100万人超に上るという。

こうした暗号資産が政府と国民の双方にとって生命線となっている構図は、ベネズエラと似ているとの見方もある。ベネズエラでも、国際制裁と通貨価値の急落を背景に暗号資産の利用が広がった。

Chainalysisのシニアアナリスト、ケイトリン・マーティン氏は「制裁対象国では暗号資産が非常に有用だ。特にイランのように暗号資産の利用環境が整った国では、迅速かつ容易に取得し、決済に使うことができる」と述べた。

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