写真=Samsung Electronics。左から、ファン・サンジュンSamsung Electronicsメモリ開発担当副社長、NVIDIAのジェンスン・フアンCEO、ハン・ジンマンSamsung Electronicsファウンドリ事業部長(社長)

ファウンドリ市場の勢力図に変化の兆しが出てきた。TSMCはなお86%超のシェアを握るものの、2026年は後工程の制約が重荷となり、シェア低下が見込まれる。こうした中、Samsung Electronics、Intel、SMICがそれぞれ異なる戦略で追い上げを狙っている。

カウンターポイント・リサーチによると、世界のファウンドリ市場の売上高は前年比16%増の3200億ドルとなった。AI GPUやAI ASICの需要拡大を背景に、先端プロセスと先端パッケージングの需要がともに堅調だった。

市場が注目するのが「ファウンドリ2.0」という考え方だ。従来の受託生産にとどまらず、非メモリIDM、外部委託の後工程を担うOSAT、フォトマスク供給企業までを含む拡張概念を指す。設計、製造、パッケージングを一体で競う構図へと移りつつあり、競争軸そのものが変わり始めている。

競争領域の拡大に伴い、TSMCのシェアは2026年に小幅低下する見通しだ。カウンターポイントは、Samsung ElectronicsとSMICがその受け皿になるとみている。背景には、前工程の微細化が物理的な限界に近づく一方で、性能向上の制約が先端パッケージングなど後工程側へ移っていることがある。

TSMCの供給不足が続くなか、AI関連の顧客企業はOSAT各社と長期契約を結び、追加の生産能力確保を急いでいる。

こうした局面で、Samsung Electronics、Intel、SMICはそれぞれ異なる突破口を探る。Samsung Electronicsは2ナノの先行量産、SMICは内需をてこにした増産、Intelは大型のAI顧客獲得を軸に巻き返しを図る。

もはや勝負は製造能力だけでは決まらない。プロセス、パッケージング、顧客基盤を含めた総合力が問われる段階に入っている。

なかでもSamsung Electronicsのファウンドリ事業には、久々の追い風が吹いている。Galaxy S26向けのExynos 2600を通じて、2ナノプロセスを世界で初めて量産したことが大きい。かつてAppleが3ナノ移行をけん引したのと同様に、今回はSamsung Electronicsが2ナノの初期導入を主導する形となった。

同社はQualcommとのファウンドリ協業も模索している。カウンターポイントは、スマートフォン市場において両社にメリットのある戦略になり得ると評価した。既存の4ナノプロセスの需要が比較的堅調な点も追い風だ。

カン・ギョンス カウンターポイント・リサーチ ディレクターは「数量と平均販売価格(ASP)の改善を踏まえると、Samsung Electronicsは2026年に成長する可能性が高い」と分析した。

もっとも、この好機が長く続くとは限らない。焦点となるのは2ナノのコスト構造だ。カウンターポイントによると、2ナノのウエハーコストは3ナノに比べて約30%高いと推定される。

QualcommやMediaTekなどのファブレス各社が、このコスト増をすべて吸収するのは難しい。次世代フラッグシップ向けアプリケーションプロセッサ(AP)では、価格引き上げ圧力が強まる可能性が高い。

このため、2ナノが本格普及するまでの間は、コスト負担に耐えられる体力がファウンドリ各社の競争力を左右する。3ナノと2ナノの出荷は2026年に前年比18%増となり、スマートフォン全体の約3台に1台に搭載される見通しだ。2026年がSamsung Electronicsのファウンドリ事業にとって分岐点とみられる理由でもある。

中国勢の増産とIntelの再建も、競争を一段と激しくしそうだ。SMICの2025年売上高は前年比16%増、Nexchipも24%増と、いずれも内需を基盤に増産を続けている。SMICは2026年末までに、月4万枚(12インチウエハー換算)の新規生産能力を追加する計画だ。前年にも月5万枚を積み増しており、採算圧力を受け入れてでも能力増強を優先している。

ジャオ・ハイジュンSMIC共同CEOは決算説明会で、「高水準の設備投資が急速な売上成長を支えた一方、売上総利益率には相当の減価償却負担をもたらした」と説明した。ただ、第4四半期の中国売上比率は87.6%に達しており、米国の制裁下でも内需を軸とする成長基盤はなお厚い。

Intelも無視できない存在だ。リップ・ブー・タンCEOの下でファウンドリ事業の立て直しを急いでいる。イーロン・マスク主導の250億ドル規模の「テラファブ」プロジェクトに参画し、SpaceX、Tesla、xAIといったAI、ロボット、宇宙分野の大口顧客の取り込みを進めている。

Intelは、超高性能チップの設計、製造、パッケージングを大規模に担える体制が、テラファブの目標である年間1テラワット規模の演算能力達成を後押しすると説明した。ファウンドリ事業では前年に大幅な営業赤字を計上したが、大型のAI需要を先取りすることで反攻の足場を築こうとしている。

先端パッケージングも、新たな競争軸として存在感を増している。カウンターポイントのジェイク・ライ主任研究員は「TSMCを巡る核心的な問いは、もはやウエハーの供給能力ではなく、システムレベルの統合力だ」と指摘。そのうえで、「CoWoSのような先端パッケージング技術が、2026年の競争力を左右する主要変数になる」と分析した。

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