OpenAIは報告書で、超知能時代を見据えた産業政策の方向性を示した。画像=Reve AI

OpenAIは、AI技術の普及に伴う急激な社会変化に備え、政府の関与強化や税制改革、週4日勤務制の試行を柱とする産業政策の提言を公表した。

TechRadarが7日(米国時間)に報じた。OpenAIは報告書「Industrial Policy for the Intelligence Age」を公開し、超知能時代への移行を前に、民主主義社会が経済の将来像を主体的に設計すべきだと訴えた。

報告書では、これまでテック企業が求めてきた規制緩和一辺倒の発想から距離を置き、今後は政府による監督と介入が必要になるとの認識を示した。超知能の恩恵を広く社会に行き渡らせるには、国家レベルの野心的な産業政策が欠かせず、対応を誤れば技術の悪用や民主主義への脅威といった副作用が深刻化しかねないと警告している。

喫緊の課題として挙げたのは、雇用減少や一部産業の縮小リスクだ。技術進歩の利益は課題を上回るとしながらも、産業構造の転換に伴う労働市場の混乱を直視する必要があると強調した。

その対応策として、保育、高齢者ケア、教育、医療、コミュニティサービスなどを含む「ケアとつながりの経済」の拡大を提案した。機械では代替しにくい人間中心の分野を厚くし、雇用の質を維持する狙いがあるとしている。

労働のあり方を見直す案としては、賃金を維持したまま「週32時間・週4日勤務制」を試行するよう求めた。政府と企業が連携し、生産性とサービス水準を保ちながら労働時間を短縮し、AI導入による効率化の果実を労働者の可処分時間の増加として還元すべきだとした。

試行が成果を上げた場合には、制度の恒久化や有給休暇の拡充につなげる余地があるとも指摘した。ただし、その前提として、生産性向上の利益が企業に偏るのではなく、実質賃金の上昇や福祉の改善に結び付く必要があるとした。

マクロ経済の不均衡を是正する手段としては、税制と再分配の仕組みの抜本的な見直しも提起した。AIが人間の労働を代替するほど、労働所得に依存した既存の税収構造には限界が生じるため、自動化の恩恵を受ける資本や企業に、より大きな負担を求めるべきだと論じている。

さらに、AIによって生み出された巨額の富を少数企業が独占しないよう、収益を市民に還元する「公共国富ファンド」の創設など、再分配の具体策も示した。技術の成果を社会全体で共有するための分配モデルという位置付けだ。

OpenAIは今回の提言で、AIを単なるソフトウェアではなく、国家経済や公共サービスを支えるインフラと位置付けた。AIには経済構造をより良い方向へ再編する潜在力がある一方、放置すれば富と権力の極端な集中を招くおそれがあるとの見方も明確にしている。

AIを直接開発する企業が、規制や税制、再分配のあり方まで踏み込んで提案するのは異例だ。AI時代の新たな経済の枠組みを、政策当局がどこまで具体化できるかが今後の焦点となりそうだ。

キーワード

#OpenAI #AI #産業政策 #週4日勤務 #税制改革 #再分配
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.