写真=Rimini Street Koreaのイ・ヨンヘン専務

AIエージェントとERPを組み合わせた「エージェンティックERP」を巡り、各社の動きが本格化している。ERPベンダーが既存製品へのAI機能の組み込みを進める一方、ERPを持たない企業は、既存ERP環境で使いやすいAIエージェントの提供を急いでいる。

企業向けソフトウェア保守を手掛けるRimini Streetも、この分野を2026年の中核事業に位置付けた。保守事業で培った知見を生かし、企業が既存ERPを維持したまま、費用対効果を意識してAIエージェントを活用できるよう支援する構えだ。グローバルERP市場で主導権を握るSAPとの差別化も狙う。

Rimini Street Koreaのイ・ヨンヘン専務は、「AIエージェント活用のために、いま使っているERPをアップグレードする必要はない」と説明。「SAP ERPを利用する企業が、システムを大きく変えずにAIエージェントを活用できるようにすることが中核戦略だ」と語った。

同社は市場開拓に向け、クラウド型業務ソフトを手掛けるServiceNowと提携した。AIエージェントが稼働するプラットフォームはServiceNowが提供し、Rimini Streetはそれを企業ごとの要件に合わせて最適化し、導入を支援する役割を担う。

イ専務によると、ServiceNowはプロセス自動化に強みを持ち、ERP領域でも重要な基盤になり得るという。Rimini Streetにとっても、保守サービスの枠を超えた将来型事業を拡大するうえで、相乗効果が見込めるパートナーだとしている。

Rimini Streetは2025年からエージェンティックERP事業を本格化しており、2026年を成果創出の年と位置付ける。準備段階として、2025年には各国26社を対象に無償の概念実証(PoC)を実施した。対象には韓国企業2社も含まれる。これを通じて24タスク向けテンプレートを整備し、2026年はその展開を加速させる方針だ。

イ専務は、「ServiceNowのツールを活用し、ERP利用企業がエージェンティック機能を使えるよう、カスタムテンプレートの提供に力を入れている」と説明した。そのうえで、「大規模に一括導入するのではなく、まず試験導入し、効果を確認したうえで拡大してもらう形を想定している。そのためのプログラムとして『Explorer Pack』も提供している」と述べた。

2026年はExplorer Packの提供拡大を重要目標に据える。イ専務は「顧客企業と話す中では、AIでERPをどう改善するかについて、まだ具体的な発想が十分に広がっていない」と指摘。「そのため、AIで実現できることを事例ベースで説明している。今年は確かな事例を作りたい」と強調した。

ERP利用企業にとって、エージェンティックERPの導入はAI活用に伴う追加コストを意味する。これに対しイ専務は、「AIエージェントの導入でコストは増えるが、重要なのは利用者の満足度だ。エージェンティックERPはERPの利用体験を大きく改善する効果がある」と述べた。

さらにイ専務は、エージェンティックERPの普及によってERPのユーザーインターフェース(UI)も大きく変わるとみる。企業ユーザーがAI経由でERPを利用する流れが広がれば、ERPアプリケーション自体はデータを保存する記録システム(system of record)としての役割をより強める一方、AI機能をオーケストレーションするプラットフォームの重要性が高まるという。

イ専務は「この変化はRimini Streetにとって悪い話ではない」としたうえで、「SAP ERP向けのエージェンティック機能提供に注力しつつ、今後はCRMなど、業務プロセスを伴うほかのアプリケーションにも広げていく計画だ」と話した。

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