Microsoftの据え置き型ゲーム機「Xbox Series X」で、割高感が強まっている。本体価格の上昇に加え、ゲームサブスクリプション「Game Pass」の負担増、PCとのすみ分けの弱まりが重なり、購入妙味が薄れているためだ。ハード性能そのものはなお高水準だが、Sonyの「PlayStation 5 Pro(PS5 Pro)」との比較でも、購入判断はより厳しくなっている。
米ITメディアのEngadgetが27日(米国時間)に報じた。Xbox Series Xは2020年11月に499ドル(約7万4850円)で発売されたが、2026年時点ではストレージ容量やモデルの違いによって725〜900ドル(約10万8750〜13万5000円)まで上昇したという。1TBのディスク搭載モデルはおおむね799ドル(約11万9850円)、デジタル専用の「Robot White」モデルは750ドル(約11万2500円)で販売されており、発売当初と比べて価格のハードルは大きく上がった。
背景には、メモリやストレージ関連部品の需給逼迫があるとされる。AIデータセンター向け需要の拡大で関連部材の消費が増え、ゲーム機の製造コストにも圧力がかかっているという。Series Xは高いゲーム性能を備える一方、発売から年数を経たタイミングで価格まで上がったことで、消費者にとっての割安感は薄れた格好だ。
負担増はサービス面でも目立つ。Game Pass Ultimateは2024年7月に月額19.99ドル(約3000円)へ値上げされ、その後Microsoftは2025年10月に29.99ドル(約4500円)へ引き上げた。反発を受け、現在は月額22.99ドル(約3450円)に下げられている。
各プランの差も購入判断に影響している。月額9.99ドル(約1500円)のEssentialは約50本、月額14.99ドル(約2250円)のPremiumは200本超のゲームを提供するが、いずれも発売日当日の新作には対応しない。新作を発売日に遊ぶにはUltimateを選ぶ必要がある。Ultimateの強みとされてきたクラウドストリーミングも、現在は月15時間に制限され、追加利用には別料金がかかる。ただし、「Forza Horizon 6」のような高価格帯の新作を遊ぶユーザーにとっては、なお費用対効果の高い選択肢になり得るという。
PCとのすみ分けが曖昧になっている点も、Series Xには逆風だ。一定の性能を備えたゲーミングPCやノートPCがあれば、月額13.99ドル(約2100円)のPC Game Passで300本を超えるタイトルを利用できる。「Gears of War: E-Day」などMicrosoftの主要新作も発売日からPCで遊べる。PCとコンソールでラインアップが完全に一致するわけではないものの、コンソール専用の独占タイトルが減ったことで、別途ハードを買う動機は弱まりつつある。
PS5 Proとの性能比較でも、Series Xは見劣りする面がある。Series XのGPU性能は12.15TFLOPSで、PS5 Proの16.7TFLOPSを下回る。両機ともカスタムのAMD RDNAベースチップを採用し、レイトレーシングに対応するが、グラフィックス性能ではPS5 Pro優位との見方が出ている。
一方、CPUは両機ともAMD Zen2ベースの8コア16スレッド構成で、大きな差はない。クロック周波数はPS5 Proが3.85GHz、Series Xが3.8GHzとされる。このため、オープンワールドゲームのようにCPU性能の影響が大きいジャンルでは、GPUほど大きなフレームレート差は出にくい可能性がある。
こうした構図は、発売を控える「GTA VI」への期待とも結び付いている。より良い環境でGTA VIを遊びたい需要がPS5 Proに集まり、中古市場ではPS5 Proが1400ドル近い(約21万円)価格で出品された例もあった。PS5 Proの公式価格は899ドル(約13万4850円)。Engadgetは、Sonyのアップスケーリング技術「PSSR 2.0」によってPS5 Proが画質面で優位になる可能性を示す一方、GTA VIでは両機とも30fpsにとどまる可能性があると予測した。
Xbox Series Xは依然として高性能なゲーム機だが、購入を検討するうえでは、本体価格の上昇、サブスクリプション料金の負担、PCとの重複、競合機との性能差を合わせて見極める必要がある。専用機としての価値は、単体スペックだけでなく、ゲーム体験にかかる総コストや独占コンテンツの魅力によって左右される局面に入っている。